EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
使用済みEVから取り出したバッテリーは新品同等
ここで、ひとつ疑問が残る。バッテリーを製品から取り出し、分解および素材抽出を行ったのちに、再精錬したもので作ったバッテリーの性能は、すべて新品から作り出されたものに比べ、性能低下が起きるのではないかということ。 これについては、硫酸コバルトや硫酸ニッケルといった素材になるまで再精錬されたものは、その工程で元素レベルにまで一旦戻っているため、リサイクル材を何パーセントか含有していたとしても、ほぼ新品同等の性能を持つバッテリーに生まれ変わることが可能なのだそう。 実際に、2031年ごろから施行される予定の欧州の新たなバッテリー規則では、一定以上のリサイクル材を含んでいることが条件となるそうだ。つまり、「新品ではないけれど、新品同等のバッテリーですよ」、ということになります。 では、リビルトとは何が違うのでしょうか。 リビルトの場合は、取り出したバッテリーのうち、部品交換で今後も使えるものと使えないものに選別し、一部の部品交換して市場に提供します。一方で、この素材から製造、分解、再精錬という一連の「BASC流サーキュラーエコノミー」の過程を踏むバッテリーは、先述の通り分解しブラックマスを作り出し、そこから元素レベルまで再精錬されるため、まったくの別物といっていいでしょう。 EVを作る、乗る、性能向上といった類の部分には普段から目が行くものの、EV同士の買い替えや廃車後のバッテリーをどのように活用するかまでは意識がまわっていなかった……。スマホのバッテリーであれだけ「都市鉱山」だと騒がれていたにも関わらずです。 同時に、EVをはじめとしたモビリティだけでなく、EV充電設備やスマートハウス向けの家庭用蓄電池など、身近なところにも多くのバッテリーが存在し、レアメタル・レアアース資源の乏しいに恩において、BASCが提唱する「サーキュラーエコノミー」は今後さらに重要度が増して行くでしょう。 日本の蓄電池産業の発展と継続性に、BASCが果たす役割は大きいはずです。
斎藤充生