朝日を浴びるようになって私の睡眠に起きた変化
睡眠を改善する最善の方法と言われているのは、実はとんでもなくシンプルな習慣で、しかも夜とはまったく関係のないことらしい。 【写真】「4時起き生活」を1週間続けてみた結果 それは、朝の過ごし方。具体的に言うなら、どこで過ごすかということ。最近ソーシャルメディアでは、「概日リズム」としても知られる生体リズム「体内時計」を整えるために、早朝(または起床後すぐ)に外に出て太陽光を浴びるように推奨する人で溢れている。
概日リズムの基本
「概日リズムとは体内の24時間時計です。遺伝子に組み込まれているもので、光がなくても機能し続けています」と説明するのは、オックスフォード大学の准教授で、概日生物学者のアーティ・ジャガンナート博士。 「この体内時計を味方につけるには、体は光から情報を受け取る必要があるのです」 これは体のすべての細胞に存在しているが、脳の視床下部に拠点を置く「マスタークロック(主要の体内時計)」があると説明している。このマスター時計は目から情報を受け取り、目に入る光の量を基準に朝か夜かを判断しているんだそう。 「こうしてマスター時計は脳や体全身に信号を送り、体内のすべての細胞に存在する体内時計を調整しているのです」 「起床や食事のタイミング、消化器を動かすタイミング、就寝に向けて体をリラックスさせるタイミングなどがわかるようになります」
これもまた、ただのトレンド?
近年では、朝日を浴びるメリットがバイオハッキングのサイクルと関連付けられるようになり、科学的根拠のないただのTikTokのトレンドではないかと疑念が沸いた。 ジャガンナート博士によれば、現代の生活が体内時計を頻繁に混乱させるとのこと。 「電気や人工光がなかった時代は、太陽光だけを頼りにしていました。それに昔は屋外で過ごす時間のほうが長かったのですが、現代では室内で過ごす時間が増え、太陽光に当たる時間が減っています」 これに加え、相応しくない時間帯に光に晒されることが増えた。例えば寝る直前。 「夜は照明で室内を明るくし、オフィスで一日中晒されている光と変わりないため、体内時計は本当に混乱してしまうのです」 ジャガンナート博士いわく、自然光が睡眠にもたらす影響は、複数の研究によって裏付けられている。大学ボルダー校の研究では、キャンプに参加した人(自然光だけを浴びた人)は、家で過ごした人よりメラトニン (夜であることを示す生物学的なシグナル)の濃度が高かった。2014年の別の研究では、夜間の光と高齢者の睡眠の質の低下や不眠症を紐づけている。