「不眠時間」の世界記録は約19日。人が極限まで眠らないと体と心にどんな影響がでるのか?
どうしても眠れない時にすべきこと
不眠症の症状に悩まされている人の場合は、やるべきことがあって徹夜を強いられている学生や兵士のケースとは状況が異なります。 不眠症にはさまざまな原因が考えられるので、体や脳に何が起きていて、ぐっすり眠ることが阻まれているのかを突き止めるために、医師の診察を受けることには価値があるでしょう。不眠の原因によって、受けられる助言も異なってきます。 ただし、主観的には「眠っていない」と思っていても、本当に一睡もしていないとは限りません。この点には注意が必要です。「まったく眠れていない」と断言していた患者さんに睡眠検査をしてみると、本人が気付かないうちに多少は眠っていたことが判明した、というのは、私が睡眠専門家に話を聞くと必ず出てくるエピソードです。 ギネスブックでさえ、この問題を認識しています。ギネスは、不眠記録の掲載をとりやめた理由として、前段で挙げた健康上のリスクに加えて、目が覚めているように見える人でも、一瞬だけ眠ってしまう「マイクロスリープ(瞬眠)」と呼ばれる現象を経験している可能性を挙げています。 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、長時間のシフト勤務が看護師に与える影響に関する報告書で、「睡眠欠乏状態にある者は、マイクロスリープの発現を制御できず、実際にこの現象が起きていても、それを認識できないことが多い」と記しています。 睡眠の専門家は、ふとんのなかで時計を見つめて、眠れなかった時間をカウントして気に病むよりも、リラックスするよう努めるべきと、アドバイスしています。リラックスした状態に入れば、睡眠に「かなり近い」休養が得られますし、それが睡眠の入り口になるケースも多いのです。 ただし、昼間に眠気を感じてつらい、あるいは、睡眠に関してほかの悩みがある場合は、医師の診察を受けてくださいね。 Source: NPR,Guinness World Records,StatPearls,USNI News,CDC,
長谷睦(ガリレオ)