「偶発的衝突」回避を強調 尖閣問題、中国と意思疎通 台湾情勢「平和的解決を」 防衛相インタビュー
中谷元防衛相は23日、沖縄県内の報道各社によるインタビューに応じた。石垣市の尖閣諸島周辺で、中国が日本から実効支配を奪取しようとする動きを強めていることに深刻な懸念を表明。一方で「意図しない偶発的な衝突を防ぐためにも、適切なコミュニケーションを図っていくことが重要」と強調し、今後もさまざまなレベルでの意思疎通を図る考えを示した。 尖閣周辺海域に常駐する中国海警局の艦船は、今年の航行日数が28日で352日となり、2012年の尖閣国有化以来、年間最多だった昨年に並んだ。中国海警局の艦船による領海侵入や、周辺で操業する日本漁船への威嚇行為も常態化している。 中谷防衛相は「情勢は依然として予断を許さない。こうした中国側の動向について深刻に懸念している」と述べた。 領土・領海・領空を守るため「冷静かつ毅然と対応することが肝心だ。防衛省・自衛隊は海上保安庁をはじめ、関係諸機関と連携しながら東シナ海を含む周辺海域、空域の警戒監視を昼夜分かたずに行っている。さらに高い練度で警戒監視の任務に当たるためには、平素からの訓練も欠かせない」と説明。「引き続き対応に万全を期す」とした。 宮古、八重山の先島諸島住民の間では、中国が台湾に侵攻する「台湾有事」への懸念も深まっている。防衛相は「引き続き関連の動向について重大な関心を持って注視していく」と中国を牽制した。 その上で「台湾海峡の平和と安定が、日本の安全保障はもとより国際社会全体の安定にとっても重要。台湾を巡る問題が対話により平和的に解決されることを期待する」と従来の立場を繰り返した。 「あくまで一般論」と前置きし「政府としても、いかなる事態に対しても対応ができるよう、平素からの体制整備を含め万全を期していくことは当然のことだ」と述べた。