X と広告主の「微妙」な関係。マスク氏の影響を受けつつも、90%の上位広告主が支出を継続
Xの広告戦略を支える新メンバーたちと成長データ
一方、新しいところでは、マーケティング部門のグローバル責任者に新たに就任したアンジェラ・ゼペダ氏が紹介された。ヤッカリーノ氏に紹介されたゼペダ氏は、初お目見となるこの機会を利用して、ヤッカリーノ氏がすでに述べたメッセージをさらに強調した。同氏は、Xでの動画の視聴回数や月間アクティブ時間の増加に関するデータをよどみなく述べ、近々登場する決済関連の新機能や、採用に関する最新情報、XのAIツール「グロック(Grok)」の進展などについても触れた。 ゼペダ氏に続いたのは、Xのチームのほかの主要メンバーだった。コンテンツ部門トップのブレット・ワイツ氏。Xの広告主向けブランド戦略およびクリエイティブサービス部門、ネクスト[NEXT]のアレックス・ジョセフソン氏。エンジニアリング部門のシド・ラオ氏とエバン・ジョーンズ氏。ブランドセーフティ部門のカイリー・マクロバーツ氏とエバン・ジョーンズ氏といった面々だ。Xの広告ビジネスの現状についての考察で午前中を締めくくったのは、南北アメリカ地域担当責任者のモニーク・ピンタレリ氏だった。 前出の広告幹部によれば、ピンタレリ氏は次のように述べたという。「X広告主の上位100社(2023年現在)の約90%が、現在もXに支出している。また、上位100社の70%が前四半期比で、50%が前年比で支出額を増やしている」。
Xは好奇心をかき立てる存在
昼食を挟み、午後からは、同一フロア内の各個室でテーマごとのブレイクアウトセッションが行われた。前出の幹部によれば、たとえば「パートナーアウトカムを高める」や「Xにおけるコンテンツ」「ネクストがXにもたらすブレイクスルー」「エブリシングアプリになる」などのテーマが用意されていたという。 これだけの数のマーケターが参加したという事実が、すべてを物語っている。いくらの広告費をそこに投じるかはまだ固まっていないにせよ、Xは彼らの好奇心をかき立てているのだ。 しかし、その一方で、カンター(Kantar)が行った調査では、広告主の26%が来年はXに支出する広告費を切り詰めるつもりであるともいわれている。さらにはこの調査から、こんなこともわかっている。Xでの出稿はブランドにとって安全だと思うと回答したマーケターは、たったの4%だった。それに対して、Googleでの出稿にそう思うと回答したのは、39%だった。 Xでの出稿に不安を感じる理由として、公言されることが多いのはブランドセーフティだ。しかし、問題はこれだけではない。もしブランドセーフティだけが不安の種なら、広告業界のビッグネームたちがXのピッチを聞きに集まることはなかっただろう。結局のところ、ブランドセーフティは全プラットフォームに共通するリスクのひとつなのだから。