JR只見線の秘話を一冊に 「各駅物語」を出版 福島県会津坂下町出身のフリージャーナリスト鈴木信幸さん
JR只見線の駅周辺に光を当てた「会津人が書いた只見線各駅物語」が東京の言視舎から出版された。会津若松(福島県)―小出(新潟県)間の廃駅2つを含む全38駅の秘話を盛り込み、路線への愛をこめた一冊に仕上がった。 著者は会津坂下町出身で、都内に住むフリージャーナリスト鈴木信幸さん(74)。坂下高(現会津西陵高)、明治大卒。中学、高校時代に通学で同線を利用した。 新潟・福島豪雨で被災した同線が11年ぶりに全線再開通した2022(令和4)年10月1日、鈴木さんは1番列車が実家近くの塔寺駅付近で故障したというニュースを知った。「塔寺駅がどこにあり、どんな駅なのか関心を持った人はどれだけいるか」と感じ、生まれ育った人間の視点から全駅を記録したいと思い立ったという。 旅行ガイド的な記述を避け、周囲の人々の暮らしや歴史、自然を丹念に掘り起こした。たこ焼きを考案した人物の事跡(若宮駅)、通学のため駅まで2時間半かけて歩き通した高校生(滝谷駅)、伝統食品「いずし」の継承者(会津蒲生駅)などを生き生きと描写している。再開通後に見えてきた課題の解決策も提言した。
鈴木さんは「途中下車したくなるように書いた。観光や飲食、買い物、宿泊をしてほしい」と話している。 表紙は金山町の写真家星賢孝さんの写真。カット写真は星さんと新潟県の写真家星野正昭さんが提供した。A5判、232ページ。2420円(税込み)。全国の書店、ネット通販で取り扱っている。