「体の柔軟性がないので…」PGAプロ資格を持つ榛葉実輝は“SR”の軟らかシャフトで飛ばす【ドラコン選手紹介】
今年の日本ドラコン界は盛り上がりをみせている。9月に行われた『ULD(Ultimate Long Drive)世界選手権』では日本選手権5連覇中の三隅直人が世界一に輝き、11月の『アジアドラコン選手権』では豊永智大がアジアNo.1の称号を手にした。彼らは何がきっかけでドラコンを始め、どんなことを意識して飛ばしているのか? 今回はPGAプロ資格を持つ榛葉実輝(しんば・みつき)を紹介する。 47.5インチのSR! 榛葉実輝の使用ドライバーとスイング連続写真をチェック 静岡県出身の榛葉は現在38歳。親の仕事の関係で、8歳から21歳までをアメリカで過ごした。ゴルフを始めたのは中学生のときで、米ジョージア州のスターアーズ高、アンドリュー大ではゴルフ部に所属。日本に帰ってくると、ツアープロを目指して研修生となり、2015年に日本プロゴルフ協会(PGA)のプロテストに合格した。 「QTは5年前までずっとチャレンジしていました。でもあまり良い結果が出なくて、何かを変えなきゃと思ってドラコンを始めました」。QTとはツアー競技に出るための予選会。そこで結果を出すためのカンフル剤として20年からドラコン競技に出始めたが、「今はドラコンにハマってしまって、ドラコン一本という感じです」という。 飛距離が重要なドラコン競技では、助走距離を稼ぐためにオーバースイングにしたり、フィニッシュで止まっていられないほど大きく振っていく選手が多い。しかし、榛葉はもともとツアーで戦うためにスイングを磨いてきたため、他のドラコン選手に比べるとスイングはおとなしく、大きく曲げることも少ない。フィニッシュではピタッと止まる。「ドラコンをやったらスイングが崩れると思われがちですけど、僕は今の方がショットは上手いと思っています」。 驚いたのは使用ドライバー。ヘッドはJビーム『JLIDEN YS_01』のロフト7度で、シャフトはJビーム『ZY-SNAKE』のフレックスSRを挿している。55グラム台で47.5インチと長さもあるため、身長184センチ、体重97キロ、ヘッドスピード60m/sの榛葉にとっては、かなり軽くて軟らかいはずだ。「僕は他の選手よりも体の柔軟性がないので軟らかいシャフトを使っています。40グラム台のLシャフト(Rよりも軟らかい)を使うこともありますよ。フィジカルが強い選手たちの中で戦うにはしなりを使わないといけないんです」。 ドラコン競技というと、Xよりも硬いXX(ダブルエックス)やXXX(トリプルエックス)を使っているイメージがあるが、実際は榛葉のように低ロフト・軟シャフトで飛ばす選手は意外と多い。そのスペックで公式戦では最長378ヤードをマークしている。 そして飛ばしのポイントを聞くと「素振り」と答える。週2回はボールを打たずに「思いっ切り振る」スピードトレーニングを行っているという。 「ボールを目の前にすると合わせる動きで減速したり、力が入ったりしてしまう。だから普段よりも速いスピードで振るだけの練習がいい。惰性でフィニッシュにいけるくらいのスピードです。ボールは打ちません。そうするとボールに合わせる動きが少しずつ減って、練習と本番のスイングが近くなってくる。実際に打つときには、ボールをよく見るのではなく、何となくボールがあるのかなという意識がいいと思います」 普段はドラコン仲間の沢柳慎也がオーナーを務める静岡県のインドアゴルフスタジオ、スピアゴルフでレッスンを行う。「飛距離専門店みたいな感じです」。ベストスコアの出し方だけでなく、ドラコンホールの攻略法も教えてくれるに違いない。 ◇ ◇ ◇ ●身長174センチとドラコン選手では小柄な三隅直人はなぜ世界で活躍できるのか? 関連記事の【37歳の三隅直人が352ヤード飛ばしてドラコン世界一に輝く! 懸垂300回で「ヘッドスピード67~68m/s」】では、その飛距離の秘訣に迫っている。