年金を繰り下げしたらどのくらい増額される?|年金繰り下げ受給の計算方法を解説【シン・会社のマナー】
年金を繰り下げたらいくら増額される? 計算方法も
年金を繰り下げると、どのくらい増額されるのでしょうか? 繰り下げの場合、最低1年以上繰り下げる必要がありますが、66歳以降75歳になるまでは1か月単位で繰り下げることできます。75歳になると、それ以上繰り下げることはできません。増加する額は、受給権が発生したときから、繰り下げた月数×0.7%で計算されます。 つまり、1年間繰り下げると8.4%、5年間繰り下げると42%の増額になります。例えば、65歳で毎月15万円の年金をもらえる人が5年間繰り下げて70歳から受け取るようにすると、毎月21万6千円の年金を受け取れるわけです。低金利時代の今、この増額率はかなり大きいと言えるでしょう。人によっては、老齢基礎年金の振替加算、老齢厚生年金の加給年金という加算分を受け取れる場合があります。 ◆計算する際の注意点 増額計算のもととなる年金額は、これらの加算を除いた金額になりますので、計算する時は注意が必要です。また、66歳前に障害給付や遺族給付など他の年金を受け取れる人は、繰り下げができない場合もありますので、年金事務所に確認してください。 年金を繰り下げている間は、日本年金機構から「繰下げ見込額のお知らせ」が送られてきますので、それによって将来受け取れる年金額を確認することができます。
年金を繰り下げるメリット・デメリット
年金を繰り下げることの一番のメリットは、やはり年金が増えるということでしょう。年に8.4%の増額率ですから、5年繰り下げると42%、10年繰り下げるとなんと84%の増額となりますから、年金額を増やしたいという人には大変有効な方法です。増額された年金は死ぬまでもらえるので、人生100年時代に備えるにはいい選択といえます。 ◆3つのデメリット もちろんデメリットもあります。5年繰り下げた場合、損得の分岐点はおよそ12年先です。12年超えれば得になるとはいえ、それより早く亡くなってしまう人もいるのが現実です。2番目のデメリットは加給年金が受給できるケースです。厚生年金に20年以上加入していた人が老齢厚生年金を受け取るとき、65歳未満の配偶者または一定の条件を満たした子がいる場合、加給年金が加算されます。 これは老齢厚生年金に加算される額なので、繰り下げしているとその間は加給年金も受け取れません。配偶者の加給年金は年間40万円近い金額ですから、年下の配偶者がいる場合、繰り下げた年数分のマイナスは大きいといえます。 3番目は早くに配偶者を亡くして遺族年金を受け取る場合です。例えば、妻が夫の遺族厚生年金を受けるようになると、妻自身の老齢厚生年金を受け取ることはできません。ただし、その場合も国民年金の老齢基礎年金はもらえますから、老齢基礎年金だけを繰り下げるという方法もあります。