2024年度 「賃上げ実施予定率」、過去最高の 85.6% 賃上げ率の最多は 3%で「前年を上回る賃上げ」に届かず
Q3. Q1で「実施する」と回答した方に伺います。 賃上げ率(全体)は2023年度と比較してどの程度を予定しますか?(小数点第一位まで)
◇「5%以上」は25.9%にとどまる Q1で「実施する」と回答した企業に賃上げ率を聞いた。1,782社から回答を得た。 レンジ別の最多は「3%以上4%未満」の32.7%(583社)だった。以下、「5%以上6%未満」が19.6%(350社)、「2%以上3%未満」が19.4%(347社)の順。 賃上げ率の中央値は、すべての規模で3%だった。 連合が2024年の春闘方針として掲げる「5%以上」の賃上げを回答した企業は25.9%にとどまり、前年度の36.3%から10.4ポイントの大幅低下となった。物価上昇が継続する一方で、対応する賃上げを持続できている企業は少数にとどまることが浮き彫りとなっている。
前年度比 8産業で賃上げ率の中央値が前年度を下回る
賃上げ率を前年度と比較した。 2023年度の賃上げ率の中央値(2023年8月調査)は、全企業と中小企業が3.5%、大企業が3.1%だった。2024年度はすべての規模で3%にとどまり、前年度を下回った。 産業別では、10産業中、8産業で賃上げ率の中央値が前年度を下回った。運輸業とサービス業他はそれぞれ3%で前年度と同水準だったが、前年度を上回る賃上げ率の産業はなかった。 政府は物価高に対応するため、前年を上回る賃上げを要請している。しかし、物価高や円安など、コストアップが続くなか、前年度以上の賃上げが現実的ではない企業も多いとみられる。
産業別 卸売業、サービス業他、不動産業の3産業で「5%以上」の賃上げ実施が3割
産業別では、賃上げ率「5%以上」の回答の割合が最も高かったのは、卸売業の33.5%(408社中、137社)だった。 以下、サービス業他の33.2%(259社中、86社)、不動産業の31.5%(38社中、12社)、金融・保険業の27.2%(11社中、3社)と続く。2024年度の賃上げ率が「5%以上」となる企業の割合が3割を超えたのは、10産業中、3産業にとどまった。 また、賃上げ率「5%以上」の割合が最も低かった製造業は17.4%(549社中、96社)で、最高だった卸売業とは16.1ポイントの差がついた。 人手不足の深刻さやアフターコロナでの業績回復度合いなども背景に、産業による二極化が目立った。