2024年度 「賃上げ実施予定率」、過去最高の 85.6% 賃上げ率の最多は 3%で「前年を上回る賃上げ」に届かず
規模別 すべての産業で大企業の賃上げ実施率が中小企業を上回る
規模による実施率の差が最大は不動産業で、大企業の「実施する」が100.0%(11社中、11社)に対し、中小企業は73.0%(89社中、65社)で27.0ポイントの差がついた。 以下、運輸業が大企業100.0%(13社中、13社)に対して中小企業86.8%(145社中、126社)で13.2ポイント差、建設業が大企業100.0%(31社中、31社)に対して中小企業87.1%(578社中、504社)で12.9ポイント差と続く。人手不足の産業では、人材確保のための賃上げも多いが、原資を確保できない中小企業などでは、賃上げを断念せざるを得なくなっている可能性もある。 規模による実施率の差が10ポイントを下回ったのは、製造業とサービス業他の2産業のみ。
Q2. Q1で「実施する」と回答した方に伺います。内容は何ですか?(複数回答)
◇「ベースアップ」実施が6割 Q1で「実施する」と回答した企業に賃上げ内容について聞いた。3,475社から回答を得た。 最多は、「定期昇給」の81.5%(2,833社)だった。以下、「ベースアップ」の62.5%(2,172社)、「賞与(一時金)の増額」の43.3%(1,507社)と続く。「ベースアップ」実施企業は、2023年度(2023年8月調査)の56.4%を6.1ポイント上回り、6割台に乗せた。 規模別では、「定期昇給」が大企業の85.1%(329社中、280社)に対して中小企業は81.1%(3,146社中、2,553社)で4.0ポイント、「ベースアップ」が大企業の67.4%(222社)に対して中小企業は61.9%(1,950社)で5.5ポイント、それぞれ大企業が上回った。 一方、「賞与(一時金)の増額」は大企業が38.6%(127社)に対して中小企業が43.8%(1,380社)で、中小企業が5.2ポイント上回った。 基本給に関わる賃金の底上げは長期の負担となるため、中小企業では賞与(一時金)の増額で賃上げに対応する傾向が続いている。 また、「新卒者の初任給の増額」は大企業の実施率が40.4%(133社)なのに対し、中小企業は24.7%(779社)にとどまり、15.7ポイントと最大の差がついた。人手不足や少子化が深刻化するなか、初任給の差の拡大は中小企業の新卒採用にも影響を与えかねない。 産業別では、運輸業の「ベースアップ」実施率が74.8%(135社中、101社)で、唯一7割を超えた。