「オジサン詰め合わせ」のトラウデン発言に怒っている人たち、その怒りの「本当の理由」とは
本当の女性差別
今回話題となった政治を含め「男社会」文脈で必ず挙がるのが「男女の人数バランスを調整すべき」というご意見。でもこれ全部が全部マッチする施策だとは思えないんですね。 例えば今年のパリオリンピックは、男女の参加バランスが非常に揃っていて素晴らしいんだ、と現地で自画自賛していましたが、それ言い出したら、女性が得意なスポーツや女性の競技者が多いスポーツでは、もっと男を増やせよって話になりますよね。実力勝負の世界にはそぐわないのでは。 業界によっては理事のすべてが女性という団体も珍しくないです。そこも調整しますか? なんでもバランスを調整すれば良いというワケじゃない、そんな単純な話ではないのです。 逆に絶対に許してはいけない「バランス調整」もありましたね。各地の医学部入試で女性が不利に扱われていた件、最後は裁判にまで発展しましたが、あれこそ、とんでもない大事件でした。 女性は医者になっても退職や休職する割合が多い、一定数の医師を確保する為の必要悪だ、なんていう理由で、女性に不利な得点調整がされていたそうですが、ならばちゃんとその問題を共有し、社会全体で合意のうえで解決策を模索すべき。何も知らない女性受験生にこっそりコストを押し付けるなんて、論外です。 社会にはまだ他にも、是正されるべき女性差別が存在するはず。表面的な言葉狩りに注力するあまり、本来もっと議論され、掘り起こされ、是正されるべき女性差別が見過ごされてしまうのであれば、本末転倒です。 Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員) ※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。
小木曽 健