スポーツをしていた人が「人生」という試合会場でも強い納得の理由
昨今の欧米では「スポーツ=文化」という認識が定着しており、積極的にスポーツ心理学をビジネスに取り入れるのがトレンドだ。いち早くスポーツをビジネスに取り入れた欧米と乗り遅れた日本。スポーツで非認知能力を鍛えてきた人が成功しやすい理由を、スポーツドクターである辻 秀一氏が解説する。※本稿は、辻 秀一『「機嫌がいい」というのは最強のビジネススキル』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● ビジネスにおいては 毎日が試合であり練習である スポーツとビジネスの関係は、スポンサーあるいは福利厚生の1つとしての位置づけとなっているのがこれまでの日本だった。スポーツの存在価値が日本では低く、富国強兵からはじまった体育の概念が強い。しかし、欧米では「スポーツは文化だ」というとらえ方をしている。「文化」とは英語で「カルチャー」、語源はフランス語系のラテン語らしく「人として耕され、人として心豊かに生きる人間活動」という文明と対比された意味だ。 「文化」としてのスポーツが、社会やビジネスに大いに役に立つ存在だと考えられているのだ。スポーツは社会の縮図として、人の心の豊かさを学ぶことができる貴重な人間の営みの1つなのだ。 スポーツには「心技体」という言葉がある。 「心」の大切さが、経験的にこの言葉としてスポーツには生まれているのだ。パフォーマンスという人間の営みを見たときに、スポーツもビジネスも「心技体」のはずである。 パフォーマンスは、仕事もスポーツも「内容」と「質」でできているのは人間の仕組みとしてまったく同じだ。内容の「何を」をレベルアップするためには、スポーツでは技術や体力が必要で、とてもわかりやすい。そのため、アスリートは技術向上のために練習をし、体力をつけるためにトレーニングをしている。がしかし、それだけでは結果が出せないこともわかっている。「心」の存在がパフォーマンスに大きく影響していることをみなわかっているのだ。だから、「心技体」という言葉があるのだ。 ビジネスの世界で「心技体」と言わないのはなぜなのか?心もあまり配慮されず、健康な身体も後回しで、技術やスキルや知識だけで、仕事というパフォーマンスを日々、何年も続けている。