【柔道】ウルフ・アロンがウクライナ選手を指導「当たり前じゃない」平和への願い募らせる
柔道男子100キロ級で21年東京五輪金メダルのウルフ・アロン(パーク24)が30日、東京都文京区の講道館で行われたウクライナチーム柔道交流会に参加し、13~20歳の男女計29選手の指導を行った。全日本柔道連盟がロシアによる侵攻で自国で十分な練習環境を確保できない選手を支援しようと、前年度からプロジェクトを実施。ウルフの参加は初めてで、得意の内股や大内刈りを指導した。 約1時間半かけて丁寧に指導し、終了後には記念品として日付と自身の名前が刻まれた箸とサイン色紙を1人1人に手渡したウルフは、「初めて海外の選手に指導した。日本人なら言葉で伝えられるが、海外の人なのでゼスチャーや単語が大事だと思った。勉強になった」と感想を述べた。 今回招待された選手29人のうち、22人が首都キーウ、7人はロシア国境近くに位置して大きな被害を受けているチェルニヒウの出身だという。プロジェクトに2年連続で参加し、昨年のU23欧州選手権で準優勝した女子70キロ級のアナ・オリーネク(17)は「同じ柔道選手でも戦場に行っている人もいる。ここにいる選手の半数の父親やきょうだいは戦場に行っている」などと母国の生々しい現状を語った。 来年6月に現役を退くことを発表しているウルフも、「今、柔道をやれているのは、当たり前じゃないと思った。僕に何かできることがあればという思い。貴重な体験ができた」と平和への願いを募らせた。