残留2世アカヒジさんの国籍回復願い 親族ら今月フィリピンへ
終戦から2025年で80年になります。しかし、未だ解決されていない問題にフィリピンで無国籍に置かれている残留日本人2世があげられます。そうしたなか、1人の残留2世の男性が、日本国籍回復を目指して就籍許可を申し立てています。 その男性の親族と名乗り出た人たちが、異国の地で国籍回復を願う男性を支援しようと11月、フィリピンを訪れることになりました。国籍回復を申請しているのは、フィリピン残留日本人2世のアカヒジ・サムエルさんです。 サムエルさんは、フィリピン人の母のもとに生まれ、沖縄出身の父は、1920年ごろパラワン島に移り住み、漁師として働いていましたが、太平洋戦争が始まり、フィリピンゲリラに殺害されました。 当時の法律では、サムエルさんは、父系の血統を採用する規定となっているため日本国籍となるはずでしたが、戦争の影響で証拠書類が失われているため無国籍状態のまま暮らしています。 肉親に関する手がかりを求めるなか2023年12月、就籍を支援する団体のサポートを受けて父の故郷である沖縄を訪れ、親戚と名乗り出た人たちと対面を果たしたほか、父とみられる写真や家系図などの証拠も集めました。これらをもとに、2024年4月日本国籍の回復を目指して那覇家裁に籍を新たに作る「就籍」の許可を申し立てました。 戦後78年を経て、サムエルさんと対面した人たちは、沖縄でのことを振り返り、一日も早い就籍実現を願いました。 吉村文男さんは「戦争があったが故の苦しみが我々にも伝わってきて。できたら、申請したものを回復されたものを持って行って差し上げて、はい日本国籍になったよと言って喜びをみんなで分かち合いたいという気持ちはありますね」と話しました。 島袋恵子さんは「だから奇跡が起こったらいいけどね、行くまでに。(就籍が)おりましたって。それを報告できたらいい」と話しました。 沖縄で親族と名乗り出た人たちは、11月14日から5日間、フィリピンを訪れ、サムエルさんの父のお墓参りなどを行う予定です。 2024年9月、父親が沖縄出身のフィリピン残留日本人2世の女性2人に「就籍」が許可されたニュースをお伝えしました。親族と名乗り出た人たちのお話にもありましたが、「喜びをみんなで分かち合いたい」という想いにフィリピンに出発する前までに朗報を期待したいところです。 その一方で戦後79年となる現在も、フィリピンには日本にルーツを持つ”無国籍”者が400人以上も残されています。