中学生死亡“ひき逃げ無罪”に遺族「長い苦しみ」 判決見直しの可能性も…争点は「直ちに救護」
飲酒運転が明らかにならないように酒のにおいを消そうと考えていたといいます。 和田真理さん 「たぶん、一番悔しかったのは、樹生だと思うんです。樹生はどんな思いで助けを待っていたんだろう、ということをいつも考えていて」 争点となっているのは、男性のこの行動が「直ちに救護した」にあたるかどうかです。 2022年、一審・長野地裁で男性は、飲酒運転の発覚を避けるため口臭防止用品を買いにコンビニに行ったことを認めた上で、「事故現場から逃げるつもりはなかった」と主張。しかし、判決は直ちに救護を行わなかったとして、懲役6か月の実刑判決を言い渡しました。 裁判長 「自己保身を優先した意思決定は身勝手かつ、自己中心的なもので強く非難されるべき」 しかし、二審の東京高裁は、コンビニに立ち寄った行動について… 裁判長 「救護のためではないものの、時間は1分余りで、その後、人工呼吸をしていたことに照らすと、救護義務の意思は保持し続けていた」 下されたのは、逆転の無罪判決。直ちに救護を行わなかったと評価することはできないとしたのです。 和田真理さん 「樹生にかける言葉は見つからないです。このまま刑が確定するようなことがあれば、こんな国に産んでごめんねとしか言えないです」 直ちに救護したかどうか、一審と二審で判断が分かれた今回の裁判。
和田真理さん 「私たちは、樹生が事故で亡くなったのではなく、加害者に直ちに救護されなかったから、亡くなったんだというふうに思っておりますし、やっぱり1分1秒早く救護されていれば、救われる命っていうのはあるので」 和田善光さん 「救護義務違反ではないかと訴え続けてきました」 救護義務違反が認められひき逃げは成立するのか。検察側が上告し、その判断は最高裁に委ねられることになりました。迎えた13日、開かれたのが弁論です。 弁論は最高裁が結論を変えるのに必要な手続きであるため、二審の無罪判決が見直される可能性があります。 検察側は「利己的な行動で救護が遅れたことを過少評価し、不合理な判断だ」として二審判決を取り消すよう主張。一方、弁護側は、「現場を離れた時間や、その後の行動から考えると、救護義務違反は成立しない」として無罪を主張しました。 裁判後、樹生さんの両親は…