外資系ホテルの「出店第4波」の特徴は「地方×安心価格」にあり 1泊=5万円超だけでなく1万円台の値段も
これまで東京や大阪、京都などの観光地を中心に出店してきた外資系ホテル。その出店攻勢がついに地方にまで及び始めている。 【図で見る】外資系ホテルにおける出店トレンドの変遷 シンガポールに拠点を置く外資系ホテルのアスコットも地方進出を狙う1社だ。シンガポールの不動産投資ファンドであるキャピタランド・インベストメント・リミテッドの傘下にある。全世界で16万室を展開している世界中堅のホテルチェーンだ。 「日本には建築中を含めると22軒のホテルを持つが、その数を5年で2倍に引き上げる。リゾート地への展開も検討している」
同社で開発ヴァイスプレジデントを務めるライアン・チェン氏は、今後の出店方針を明かした。 ■広島や名古屋、札幌での出店想定 地方での出店地域は広島や名古屋、札幌などを想定しているという。リゾート地では白馬(長野県)や箱根(神奈川県)を候補に挙げた。 日本では東京を中心に、宿泊に特化したホテルを運営してきた。 有名なのは「アスコット丸の内東京」や「オークウッドプレミア東京」。千代田区の大手町と丸の内に建つ、1泊10万円程度からの高級ホテルだ。1カ月を超えるような長期滞在宿泊者も受け入れるアパートメント型のホテルとしても知られる。
【写真】キッチンと家電が備わっており、長期滞在もできる「オークウッドプレミア東京」の室内 アスコットは、なぜ地方への出店を決めたのか。最高事業開発責任者のセレナ・リム氏は次のように説明する。 「当社のホテルに宿泊したゲストが、次は温泉やハイキングなどで地方へと行きたがっている。とても自然なことだ」 地方進出を進めるのはアスコットだけではない。今年4月にはフランスの大手ホテルチェーンであるアコーが、旧大和リゾート(現デスティネーション・リゾーツ&ホテルズ・マネジメント)から22軒のホテル運営を受託した。
その狙いについてアコーは、「訪日客はリピート率が高く、リピート客は地方や温泉、日本らしい体験に興味を持っている。22軒のホテルは世界遺産から近く景勝地などが多い。地方都市においてアコーの存在感を高め、訪日需要を獲得するための絶好の機会だと考えた」と説明する。 アコーの運営になって8カ月ほど経った。経営状況については、「ホテルによっては客室単価が倍以上になっており、稼働・単価ともに大きな成長をしている」という。