稲見萌寧が3カ月半ぶりのアンダーパーに笑顔 「めちゃくちゃ久しぶりでうれしい」
<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 初日◇13日◇新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)◇6560ヤード・パー72> もね&えりか【写真】 悩めるプロゴルファーにとって元気を取り戻す最高の処方箋はバーディであり、アンダーパーだ。4バーディ・2ボギーの「70」で、5月17日の米ツアー「ミズホ・アメリカズオープン」2日目の1アンダー(71)以来となるアンダーパーを稲見萌寧は素直によろこんだ。「めちゃくちゃ久しぶりにアンダーが出ました。うれしい。前半は本当に私らしい、いいゴルフができたと思います」。 出場試合が少なかったこともあるが、実に119日ぶりに¨赤字¨で回った18ホール。6月の「KPMG全米女子プロ選手権」以来の試合で、今季初の日本ツアーとなった前週の「ソニー 日本女子プロ選手権」はトータル5オーバーで予選落ちしたが、この日はパーオン率77.78%(14/18)とショットに本来の切れ味が戻った。 パー4の2番では残り101ヤードの2打目をピンそば1メートルにつけるなど前半のアウトで4バーディを奪取。後半は2ボギーとスコアを落としたが、「マネジメントがいらないショットが打てた。後半もすごいミスをしてのボギーじゃないし、もったいないとは思うけど、明日も頑張って伸ばしていけると思えた」と満足度は高かった。 米ツアーに主戦場を移した今季は1月の開幕戦で19位、2戦目の「LPGAドライブオン選手権」は8位に入った。だが、そこから下降線をたどり、2月の「HSBC女子世界選手権」から「KPMG全米女子プロ選手権」までの11試合で6度の予選落ち、2度の途中棄権もあった。「楽しかったのは最初の2試合だけ。向こうでの生活が辛いわけでもないし、環境は楽しかった。ただ、ゴルフがうまくいかないことにストレスを感じていた」。その間、試みた本人曰く「これまでとは真逆な動き」というスイング改造も裏目に出て、負のスパイラルに陥っていた。 現在は、9勝を挙げ賞金女王に輝いた2020-21年統合シーズン時のスイングをイメージし、その後の試行錯誤をスパイスに「原点回帰+進化」を模索した新たなスイングに取り組む日々を送る。8月の国内初戦となるはずだった「NEC軽井沢72」は体調不良で初日のスタート前に無念の欠場となったが、休養後に国内で練習とトレーニングを積むことによって、着手から急ピッチで新スイングは仕上がってきた。 「先週で試合勘もだいぶ戻ったし、今週は(持ち球の)フェードがしっかり打てるようになった。今は頑張ろうと思えるようになったし、久しぶりにゴルフが楽しい」 気持ちも前向き。米ツアーのポイントランクは80位までの来季のシード圏外の91位だが、「最後まであきらめない。このままでは終われません」と戦う姿勢も取り戻した。今週からボールを従来のブリヂストンスポーツ「ツアーB XS」から「スピンがかかりすぎているのと、打感が柔らかすぎる」と、同社の「ツアーB X」に変更。ひらめきも吉と出ている。 2アンダー・24位タイで滑り出し、2日目は復権に向けて大きな意味を持つ。「あしたは60台で回りたい」。アンダーパーという¨特効薬¨の効果は絶大。言葉にも力強さが戻ってきた。(文・臼杵孝志)