へび(巳)年にお参りしたい蛇神様のパワー全開の「銭洗弁財天」、鎌倉の観光地、神社最大のパワースポットは?
(吉田さらさ・ライター) 人生の節目や季節の行事など、日本人の暮らしに寄り添う神社。厄除けや縁結び、出世や家内安全まで、古来より人々が願いを託してきた神社の巡り方を、寺社仏閣に詳しい吉田さらささんがご案内。神社発祥の由来や祀られた神様、知られざるスポットをご紹介します。(JBpress) 【写真】銭洗弁財天の最大のパワースポット、奥宮 ■ 正式名称は「銭洗弁財天宇賀福神社」 明けましておめでとうございます。今年は巳年ということで、蛇にまつわる神社の代表格である銭洗弁天をご紹介しましょう。 正式名称は「銭洗弁財天宇賀福神社」。鎌倉の人気観光地のひとつだが、鎌倉駅からだと適切なバス便がなく、30分ほど歩くことになる。だがしかし、この道のりがいい。駅の西側にあり、混雑する鶴岡八幡宮エリアや長谷寺エリアとは少し離れているため比較的人が少なく、鎌倉本来の風情を味わいながら歩くのにぴったりだ。ただし初詣期間は相当混むと思うので、少し落ち着いたころに出かけるとよい。 最初のうちは比較的平坦な道だが、トンネルを抜けて右に折れ、しばらく歩くと山道に入る。いきなり急勾配になり、「こんなの聞いてないよ~」と息を切らしながら登って行くと、突然前方に鳥居が見える。倒れる前に到着できてありがたい。これぞ弁天様のご利益かと感激。 鳥居をくぐると巨岩をくりぬいた洞窟があり、トンネル状になっている。これもはじめて行く人には驚きのしかけだが、このトンネルは昔からあるわけではなく、第二次世界大戦のころにできたものだという。トンネルを抜けるといくつもの鳥居が連なっており、その先が境内だ。それほど広くはないが、さまざまなご利益をいただけるスポットが凝縮した空間なので、心してお参りしよう。 ■ 宇賀神とはどんな神なのか? まずはご由緒から。文治元年(1185年、巳年)の旧暦4月、巳の月の巳の日、巳の刻、源頼朝の夢に宇賀神という老人の神が出てきて、「この地に湧き出す水で神仏を供養すれば、天下泰平の世が訪れる」とのお告げを受けた。頼朝はここの岩壁に湧く霊泉を見つけ、社を建てて宇賀神を祀った。それがこの神社のはじまりである。 ところでその宇賀神とはどんな神なのだろう。中世以降に信仰されるようになった神格で、名称は記紀に登場する宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)に由来するという説が一般的だ。宇迦之御魂神は穀物、食物を司る女神である。これが宇賀神として信仰されるようになったのは、比叡山延暦寺の教義に取り入れられ、弁財天と習合してからのことだ。こちらの神社の正式名が「銭洗弁財天宇賀福徳神社」なのは、弁財天と習合した宇賀神が祀られているためである。 この神は、体は蛇で頭は人間、とぐろを巻いた蛇の上に乗っている頭は老人もしくは女人という特異な姿をしており、財をもたらす福徳の神として人気が高かったという。境内を探すと、蛇の上に若い女人の頭が乗った宇賀神を彫った石碑がある。女人の頭の上には小さな鳥居があるが、これも宇賀神のご神徳の強さを表す特徴のひとつだ。宇賀神の横には「鎌倉五名水」という文字も彫られている。五名水とは良質な水が湧きだす鎌倉の五つの湧水のことで、そのひとつが、頼朝が夢のお告げで見つけたとされるこちらの霊泉である。