すかいらーくが買収の「資さんうどん」、全国進出で丸亀・はなまると〝うどん大戦争〟へ
外食大手のすかいらーくホールディングスが、「丸亀製麺」と「はなまるうどん」が圧倒的な強みを持つ外食うどんチェーン市場に挑む。九州を中心に展開する「資(すけ)さんうどん」を10月に買収、すかいらーくが持つノウハウや資金を活用し、店舗の全国展開に乗り出すことを決めたからだ。麺が硬い讃岐うどんで全国を席巻する丸亀製麺・はなまるに対し、柔らかい麺を特徴とする九州うどんを引っ提げて全国制覇を目指すすかいらーく。それぞれの威信をかけた〝うどん大戦争〟の幕が切って落とされた。 【写真】資さんうどんの定番メニュー「ごぼ天うどん」 「柔らかいけれどコシがある麺に、ホクホクのゴボウの天ぷらとやや甘辛く煮込まれた肉の風味が合わさって実においしく、あっという間に食べ終えてしまった。これからも頻繁に通ってしまいそう」 10月に大阪から福岡に赴任したばかりという男性会社員(56)は、着任前から気になっていたという資さんうどんを訪れ、「かしわごぼ天うどん」を注文、初めて食べた感想をこう興奮気味に語った。 ■北九州のソウルフード 男性が訪れたのは福岡空港にほど近い場所にある半道橋店(福岡市博多区)。週末の夕食時だったこともあり、100席以上ある広い店内は6つある6人がけのテーブルが満席になるなど大勢の客で賑わっていたという。それもそのはず。資さんうどんは北九州の「ソウルフード」と言われるほど地元で親しまれ、週末だけでなく、平日にも行列ができる店舗が出るほど地場で人気のある〝ご当地〟チェーンだからだ。 スティック状のゴボウが載った「ごぼ天うどん」が看板メニュー。だしの効いた汁に、柔らかいけれどコシがある麺、カリッと上がったゴボウの天ぷらの調和が癖になるとして、リピーターが続出する店としても知られる。 ■集客力のあるブランドに着目 そのご当地で大人気のチェーンに目をつけ、運営会社の全株式を10月にファンドなどから240億円で取得し、新たにグループに加えたのがすかいらーくだ。 資さんうどんは1976年に北九州市で創業。店舗は九州7県と山口県、岡山県、大阪府、兵庫県の1府10県に約70店舗を展開している。今年末には千葉県八千代市に関東1号店、2025年初頭には墨田区両国に東京1号店をオープンする。資さんうどんとして、関東圏を中心に全国での出店を加速するという戦略を進めようとする中で、資金やノウハウを含めた資源を必要としていた資さんと、集客力のあるブランドを傘下に加えることで収益力の強化を図りたいすかいらーくの思惑が一致して、今回の買収劇につながった。