バスケ日本代表「八村・河村・渡邊の不在」をどうする ホーバスHC2期目の新たなキーマンは?
新生ホーバスジャパンのキーマン(前編) 舌に感じたのは、ひとつの白星も挙げられなかった苦さと、しかし世界の強豪にまったく太刀打ちできないわけではないという甘美さの入り混じったものとなった。 【写真】パリ五輪女子バスケ「日本代表・全メンバー」ギャラリー 日本バスケットボール協会は、今は甘美なその味覚がこの先もっと濃いものとなると信じて、男子日本代表チームのトム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)と契約を延長するに至った。 再任のオファーを受けるかどうか逡巡したという同氏も、「パリよりもまたレベルアップできる。まだ仕事は終わっていない」と、ロサンゼルス五輪でパリ以上の成果を得ることを見据えた言葉を述べている。 ホーバスHCはさっそく「2期目」の仕事に着手している。手始めは11月21日と24日にあるFIBAアジアカップ予選・ウインドウ2でのモンゴル戦(日環アリーナ栃木)とグアム戦(グアム大学カルボフィールドハウス)の2試合である。 ホーバスHCと代表スタッフはさらなる高みを目指すことのできるチームづくりにあたって、また才能ある選手を探していくことになる。パリ五輪でエースPGだった河村勇輝(メンフィス・グリズリーズ)がNBAデビューを果たし、当面は八村塁(SF/ロサンゼルス・レイカーズ)、富永啓生(SG/インディアナ・マッドアンツ/Gリーグ)といった「海外組」抜きで戦っていかねばならない。 ※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。 今回の代表合宿では、これまで代表活動経験の少ない選手が数多く招集されている。海外組抜きで、どのようなバスケットボールを展開するのか。また、選抜されたニューカマーから誰がカギを握るのか、あるいは今後そうした存在になっていく素質を感じさせるか、今回選ばれた代表メンバーから考察したい。
【ホーバスHC「もう1度見てみたい」存在】 今シーズンの日本バスケットボール界において、脇真大(わき・まさひろ/SG/22歳)の名前をより頻繁に耳にするようになっている。近年の男子大学バスケ界で急成長を遂げた白鴎大学では下級生の頃から主力を務め、2021年度と2023年度に2度のインカレ優勝を遂げ、自身も大会得点王やMVPを受賞するなど世代のトップ選手として台頭した。 同時に特別指定選手制度を利用し、在学中からBリーグの茨城ロボッツや琉球ゴールデンキングスでプレー。今シーズンから本格的にプロ転向を果たした琉球では、前年までスターターSGを務めた今村佳太(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)の後釜として、開幕から先発出場を継続中だ。平均22分強の出場時間を得ながら、平均8.6得点の成績を収めている。 2023年2月には若手の成長株を集めたディベロップメントキャンプに招集されている脇について、ホーバスHCは「もう1度見てみたい」と話していた。この言葉をどう取るべきか。いい評価だとも取れるし、また反対に「やや物足りない」と解釈することもできる。 脇自身はその言葉を耳にしたわけではないが、ホーバスHCのチームで多用かつ重視される3Pシュートが明確な課題のひとつだということは、彼も理解している。その点を改善していけば、自分のチャンスも広がるはずだと前向きだ。 「ディベロップメントキャンプには大学生の時に呼んでもらいました。トムさんのバスケットをしたのはその時が最初で、僕は3Pが得意ではなかったのですが、最近になってノーマークの時などは決めきれているので、あの頃から変わっている自分も見せたいですし、トランジション(の攻め)やディフェンスは継続してやっていきたいと思っています」 アジアカップ予選に先立って行なわれた直前合宿中の取材で、脇はこう語っている。今シーズンの3P成功率は33.3%で、試投数も平均1.7とSGとしては少なく、これから取り組むべき課題であるのは明白だ。