新型スズキ・スペーシアカスタムの走りを郊外・市街地・高速道路で確かめた! 違いはスタイルとターボだけじゃない? 【新型スペーシア試乗・後編】
足周りの良さは操舵支援にも効果あり
またこの足周りが、操舵支援の追従性も大きく高めていると感じた。 システム的には広角な単眼カメラとミリ波レーダーの採用でその検知範囲が広がった。カーブの手前で減速してくれるきめ細やな制御もしてくれるようになったのだが、そもそも足周りがシッカリしているからこそこうしたシステムがきちんと動く。 カメラ位置が高いスーパーハイトワゴンでもADASセンサーがぶれないから、カーブでは修正舵が入らず挙動が安定するのだ。その切り始めこそまだレスポンスが遅くて唐突な所もあるが、自動運転ではなく操舵アシストだと考えれば、かなり頑張っているし今後の洗練に期待が持てる。 またシステムがアップデートされたことで、今回から右左折時の歩行者や自転車、そしてオートバイを検知して警告・ブレーキアシストを行う「デュアルセンサーブレーキサポート」がバージョンIIへと進化。そして駐車時の衝突被害を軽減する「低速時ブレーキサポート」(前進・後退)がセーフティサポートに加わった。
センスの良いインテリアは実用性にも優れたくつろぎ空間
インテリアはデザインセンスが高く、ハードプラスチック然としていながらも安っぽく見えないのが素晴らしかった。 助手席側のダッシュ上部はその造形が立体的でスタイリッシュ。コロナ禍を経験して車中でご飯を食べたりくつろぐ時間が増えたことを踏まえ、ダッシュ下部は先代のボックス形状からトレータイプに改められた。 ボルドー×ブラックカラーでラウンジ感を演出したというカスタムのインテリアカラーは、走りに対してプレミアム感をちょっと高めすぎている気がするけれど、中高年以上のダウンサイザーを迎える上ではおもてなし感が出せている。 対してブラウン基調のダッシュにホワイトのトレー、そしてマット質感のカフェラテ色を組み合わせた標準車のインテリアは、シンプルかつ今風で若々しい。 ピアノブラックトリムされた9インチモニターは液晶画面とのコントラストが見やすく、ハザードランプ位置もよく目立つ。デジタル表示に割り切った速度計も直感的に把握しやすい。ハイテンションスチールの採用で強度を確保し、細身にしたAピラー周りの視野の広さも合わせて、とても実用的で居心地のよい室内空間に仕上がっていると思えた。 ひとつ注文したいのはカスタムに標準装備となった電動パーキングブレーキの制御。信号待ちでブレーキを踏み続けてくれるホールド機能も付けたのだから、サイドブレーキは自動解除しないでよいのではないかと感じた。 確かにアクセルを踏み出せば走り出せるのは快適だ。また万が一の際には誤発進抑制機能が注意喚起をして最後にブレーキを掛けてはくれるのだろう。しかしそれだって、完璧ではない。実際走り出して電動サイドブレーキが解除されないクルマに乗ると、自分も一瞬煩わしさを感じる。しかしそこで、安全が意識できる。