【2024年最新】マンション売却の注意点5つを解説 価格高騰下の売り出しで気を付けたいポイントとは?
中古マンションの価格は10年以上も値上がりし続けており、近年はマンション売却の注意点も変化してきました。新築時価格より高く売れることも多くなっている一方で、近年のマンション売却では価格が高いことから、売却期間が長期化するという新たな問題も出てきました。本記事では「最新のマンション売却の注意点」を解説します。(竹内英二・不動産鑑定士) 不動産仲介会社が「両手取引」をしたい理由は? 目次中古マンションは売却価格が高騰するも、販売は長期化マンション売却の5つの注意点マンション売却の流れ(気を付けたいポイント)まとめ
中古マンションは売却価格が高騰するも、販売は長期化
最初に、近年の中古マンション価格の推移をグラフで示します。直近、過去10年間の首都圏における中古マンション価格の推移は以下の通りです。 中古マンション価格は上昇し続けており、近年は新築当初の価格よりも高く売れる物件が多く出始めています。 2024年3月に日銀は金融政策の大幅な方針転換を示しましたが、実際には低金利環境は当面継続すると思われ、マンション価格は引き続き上昇していくものと推測されます。 一方で、中古マンション市場で近年生じている現象は、販売期間の長期化です。首都圏における中古マンションの在庫件数と販売日数の関係を示すと、下図のようになります。 2020~2021年にかけては新型コロナウイルスによる緊急事態宣言等の影響で物件数が少なくなった時期がありましたが、総じて見ると在庫件数は上昇傾向にあります。 在庫件数に連動するのは、販売日数です。販売日数とは、売りに出してから売買契約を締結するまでの期間ですが、2023年は平均で80.1日(約3カ月弱)となっています。 中古マンションは価格が上昇することで売れにくくなっており、販売日数が長期化することで在庫件数も増えているのです。
マンション売却の5つの注意点
中古マンションの価格高騰下で売却する際には、以下の5つの注意点があります。 1、価格高騰下では売却期間に余裕を持つ 2、高過ぎない価格設定をする 3、築40年以上の物件は買取も検討する 4、ハウスクリーニングを徹底する 5、一般媒介契約も検討する 各注意点について解説していきましょう。 価格高騰下では売却期間に余裕を持つ 前述の通り、最近のマンション売却では、売却期間に余裕を持つことが最も重要な注意点となってきました。 統計上は、首都圏のマンションの平均販売日数は80.1日ですが、肌感覚ではもっと多くの時間を要している物件が増えています。 ここ1~2年のマンション売却では、売りに出してから半年以上経っても売れ残っている物件も珍しくありません。 販売期間が長期化している原因は、価格の高さです。中古マンションは、物件の近所の人が購入するケースも多いですが、近所の人はマンションの相場をよく知っています。 新築当時の価格も覚えており、新築時よりも高く売りに出されていることを知ると、なかなか購入を決断しないのが実態です。 中古マンションは以前ほどすぐには売却できない状況になってきていますので、売却するには焦らずに売ることが重要となっています。 高過ぎない価格設定をする 近年の中古マンションの売却では、高過ぎない価格設定をすることも注意点です。長期間売れないマンションを見ると、やはり価格が高過ぎる印象があります。 時間に余裕があるなら別ですが、標準の3カ月程度で売却したいのであれば売り出し価格は適正な水準で決定すべきです。 適正な価格水準は、査定を複数社に依頼すると自ずと見えてきます。1社だけの査定結果だと、その価格が高いのか安いのかの判断がつきません。4~5社程度の価格を比較すれば、高過ぎる価格や安過ぎる価格が見えてきます。 複数社に査定依頼するなら、不動産一括査定サイトが便利です。査定結果のうち、高過ぎる価格は排除し、標準的な査定結果の価格を売り出し価格とすることをおすすめします。 築40年以上の物件は買取も検討する 築40年以上の物件は買取も検討することが望ましいです。買取とは、再販を目的とした不動産会社に下取り価格で売る売却方法のことを指します。 買取による売却価格は、仲介で売ったときの8割程度の価格水準です。買取は、価格は安くなりますが、すぐに売却することができます。 以前は築40年以上の物件は価格が非常に安かったことから、買主が購入後にリフォームできる余力があり、リフォームせずとも売却できました。 一方で、近年は築40年以上の物件でも価格が高くなっており、買主が購入後にリフォームする余力が生まれにくいことから、リフォームしていない物件は売却しにくくなってきています。 そのため、最近では築40年以上の物件は、売却のためにはリフォームが必須になりつつある状況です。 しかしながら、売主側でコストを抑えながら上手くリフォームすることは非常に難しく、リフォーム費用を価格に転嫁できずにコストを回収できないリスクもあります。 リフォーム費用を回収できなければ、売却しても損をしてしまいます。そのため、築40年以上の物件はリフォームせずに買取を利用して早期に売った方が賢明です。 確かに買取は価格面で損をしますが、リフォームで失敗して損をするリスクを鑑みれば、損失は最小限に食い止められます。 近年は買取業者も増えてきましたので、買取に関しても複数社に査定を依頼し、高く買ってくれる買主を見つけることが適切な対処法となります。 ハウスクリーニングを徹底する ハウスクリーニングを徹底することも注意点です。ハウスクリーニングとは、専門の清掃会社による家の有料掃除サービスのことを指します。 近年は中古マンションの価格が高いため、買主の期待値も高くなっています。新築当時の価格よりも高いにも関わらず、新築時よりも汚れた物件は買主もなかなか買う気がしません。 例えば、キッチン周辺の床が油汚れで少しベタついているだけで、購入しない買主もいます。中古マンションは高級品ですので、高級品を売るからには少しでも商品はきれいにすべきです。 そのため、ハウスクリーニングはキッチンやバスなどの水回りだけでなく、床やクロスも含めて部屋全体を行うことが望ましいといえます。 なお、ハウスクリーニングの有無は査定価格には影響しないため、不動産会社と媒介契約を締結後、購入希望者に家の中を見せる内覧の前のタイミングで行うことが適切です。 一般媒介契約も検討する 仲介で売却する場合、湾岸のタワーマンションなど、人気があり、売れるのも早い物件については、同時に複数の不動産会社に売却を依頼できる「一般媒介契約」も積極的に検討することが望ましいといえます。 理由としては、一般媒介を選択した方が早く売れる可能性が高まるからです(媒介契約については後述します)。 不動産会社に支払う仲介手数料は成功報酬であるため、一般媒介で複数社に依頼しても仲介手数料の支払先は売却を決めた1社だけとなります。 そのため、複数の不動産会社に仲介を依頼しても、売主が経済的に不利になることはありません。 仲介手数料は成功報酬であることから、複数の不動産会社に依頼すると不動産会社同士で競争原理が働き、各社は「より早く・より高く」売ることを目指そうとします。 近年は販売日数が長期化していますので、早く売るためには最初から一般媒介で複数社に依頼することも一つといえます。