野球とラグビーの「二刀流」に励む15歳、父親はあのレジェンドWTB
実は父の義人氏も、中学1年までは野球少年だった。中1で先輩の遠投の練習につき合い過ぎて肘を痛めた矢先、新設されたラグビー部に転部。快足WTBが誕生したのだ。
「二刀流」で最も有名になったのは、1980年代後半から90年代初めにかけてMLBとNFLで活躍したボー・ジャクソンだろう。MLBではロイヤルズなどで外野手、NFLではレイダースでRBを務め、MLBオールスター、NFLプロボウルの両方に出場した史上ただ一人の選手でもある。
ラグビー界でも、95、99年と2度のW杯にニュージーランド代表WTB/FBとして出場したジェフ・ウィルソンは、クリケットでも同国代表に選ばれている。現役オールブラックスのCTBジョーディー・バレットも、クリケットのU-19代表候補になった過去がある。
ただ、日本では別々の競技でともに大成するのは、かなり難しい。侍人本人も「団体競技を2つやるということは、自分だけでなく他のみんなのことも考えないといけない」と話す。そもそもコンタクトが主体のラグビーは、けがや痛みに対して結構〝がさつ〟なところがあるが、技術のスポーツで瞬発性の高いプレーが多い野球は、ちょっとした痛みで動きに支障が出る。侍人もラグビーで手首を痛めたとき「バットを振れなかった」と振り返る。
「野球とラグビーの両方で代表になれたのは、自信につながっている」と話す侍人だが、考え方は大人びている。「野球やラグビーでこれまで培い、これから出会う人脈は社会に出たときに役立つと思う」。将来の夢はプロスポーツ選手。「影響力のある人間になりたい。社会全体にいろいろなことを発信できる」。
高校では、環境が許せば「二刀流」継続も見られるかもしれない。(田中浩)