1760万円の超希少なレクサスが凄すぎた!!! 60台限定のLC500“EDGE”の走りに迫る
レクサスの新しい「LC500」に設定された特別仕様車「“EDGE”」の走りは凄かった! 山本シンヤがリポートする。 【写真を見る】新型LC500“EDGE”などの詳細(35枚)
従来とは一線を画す作り込み
2011年、アメリカ・カリフォルニア州のペブルビーチで3代目「GS」が発表されたが、北米のジャーナリストからは「レクサス(のデザイン)はつまらない」と、評価された。それを受けて手掛けたデザインコンセプトが「LF-LC」だ。2012年のデトロイトショーで披露したところ称賛の声が多数寄せられたため、豊田章男社長(当時)は市販化にゴーサインを出した。そのチーフエンジニアとして任命されたのが、現社長の佐藤恒治だ。 早速自身でレイアウト図を作成したものの「あのデザインとトヨタが持つリソースを組み合わせたところ、法規を満たさないどころかクルマにならなかった」と、言う。佐藤は豊田に「せっかくチーフエンジニア任命いただきましたが、このクルマはできません」と、伝えた。すると豊田は「今のトヨタだとできないのは分かっているからこそやるんだよ。それが挑戦だよね。そのためには、まず自分を変えることからじゃないの?」と、返されたという。 そこで佐藤はプラットフォームを含む主要構成部品を新規開発し、2017年に「LC」を市販化した。LCの意味はズバリ“Lexus challenge”である。 正式発売後も、できる改良は必ず織り込み、商品の進化を追求する“Always On”という考え方のもと、進化し続けてきた。その集大成ともいうべき1台が、2023年の大幅改良時に60台限定で発売された特別仕様車の“EDGE”(エッジ)である。 開発コンセプトはLCが追求してきた“切れ味”、“鋭さ”をより高みに引き上げること。そのために、従来とは異なる方法に挑戦したのだ。大量生産が得意なトヨタが苦手とする“少量生産”かつ“手間のかかるアイテム”の投入である。 エクステリアでは、フロントに世界初の樹脂成型技術が採用されたバンパー一体型のカナード、リヤは航空機の空力技術を応用した形状の固定式(CFRP製)ウイングを装備。さらに専用ボディカラー「マッドホワイト(HAKUGIN)」と、スプリット5本スポークの鍛造アルミホイールなどにより差別化を図る。インテリアはデザインの変更こそないものの、「KACHIIRO」と呼ぶブルーを使う。 肝心の走行性能面では、マニアックな変更が多数おこなわれている。最大のポイントはアルミ中空構造のリヤサスペンションメンバーの採用だ。重量は通常品(スチール板金製)とほぼおなじだが剛性は約2倍。しかも単なる材料置換ではなく入力が大きい部分は環状構造に変更。取り付け方法もノーマルとチギ、ブッシュを介さずに直接ボディと接合(余計な動きがない)する。 もちろん、これだけでは“リヤ勝ち”になってしまうため、フロントにコンバーチブル用の床下ブレースを追加し、前後バランスを整えているそうだ。これにあわせてサスペンションは専用チューニングがほどこされた。