1760万円の超希少なレクサスが凄すぎた!!! 60台限定のLC500“EDGE”の走りに迫る
違いに衝撃
試乗すると、車両重量が1930㎏とノーマルとおなじにも関わらず、LCよりひとまわり小さな「RC F パフォーマンスパッケージ」(車両重量1720㎏)よりも小さく、軽いクルマに乗っている感覚だったことに驚く。最新のスポーツモデルは車両重量を感じさせない身のこなしに感心する機会が多く、“EDGE”もおなじだ。 コーナリング時の動きは、開発陣こそ「切れ味と鋭さを目指した」と、言うが、筆者はより素直かつよりスッキリとした印象を受けた。タイヤのグリップ力で無理やりクルマを曲げるのではなくクルマ全体で素直に曲がる感覚である。 さらに足まわりの動きは軽快。恐らく、セッティング自体はノーマルよりもややハードな方向と思うが、一般道で乗るとむしろノーマルよりもソフトに感じたほどさ。明らかにバネ下が軽い! と、感じる抵抗感のない足の動きで、入力をスッと抑えるショックの吸収性から、バネ上のフラット感を含めた快適性はノーマルよりも間違いなく高い。 歴代LCの弱点のひとつだった直進安定性も激変。たとえば高速道路で「Lexus Safety System」のLTAを使うと、ノーマル以上にステアリングに軽く手を添えるだけで外乱に影響せずビシーッと真っすぐ走るのだ。アルミ中空構造のリヤサスペンションメンバー採用によるリヤの安定性アップと、空力アイテムによる空力操安向上の相乗効果によるのだろう。 ちなみにパワートレイン/ドライブトレインにもひと手間くわえられている。“EDGE”はV8-5.0Lのみの設定となるが、ムービングパーツの質量合わせやシリンダー径のミクロン単位の作り込みを実施。さらにリヤデファレンシャルは熟練技術者が手作業でバックラッシュ再調整をおこなう。スペックの変更こそないが、フィーリングを高める高精度チューニングが施されているのだ。 その印象はフットワークほど劇的ではないものの、実用域では微細なアクセルコントロールにも反応する、扱いやすさが印象的だった。中~高回転力域はまわせばまわすほど滑らかになっていくフィーリングとサウンドにより、今まで以上に洗練されたユニットに仕上がっていた。 “EDGE”の走りは、大幅改良の域を超えた進化だった。そんな“EDGE”で採用されたアイテムの一部を既販車用としてパッケージ化したオプション「LEXUS LC Performance Upgrade Package」としてKINTO FACTORYが設定する。筆者はパッケージ装着モデルにも試乗済みだが、“EDGE”の8割程度は“再現”されていた。 価格は部品と作業工賃含む200万円(トヨタ自動車元町工場でトヨタ自動車の整備士が実施)。仮にノーマルのLC500(1400万円)に施工した場合1600万円だから、“EDGE”(1760万円)よりも安くおさまる。想像以上に走りが変わるのだから、興味のある人は是非トライすべし。
文・山本シンヤ 写真・レクサス 編集・稲垣邦康(GQ)