佐野勇斗、初めて観たライブはB’z 朝ドラ初出演で「本当にすごいご縁」:インタビュー
佐野勇斗が、NHK連続テレビ小説『おむすび』(月曜日~金曜日 朝8時から放送中)に出演中。本作は、“どんな困難も明るくたくましく乗り越える”をモットーとする平成時代のギャル、米田結(橋本環奈)が、人々の健康を支える栄養士となり、現代人が抱える問題を“食の知識とコミュ力”で解決しながら、目には見えない大切なもの(縁・人・時代)を次々とむすんでいく“平成青春グラフィティ”。佐野は、結の恋人でメジャーリーガーを目指す四ツ木翔也を演じている。栃木県出身で、大阪の星河電器に就職し、社会人野球選手として夢を追うキャラクターだ。現在、肩を壊してしまい、人生の岐路に立たされた翔也の動向に注目が集まっている。インタビューでは、撮影時のエピソードや、朝ドラ出演の夢を叶えるために行っていたこと、主題歌を務めるB’zの楽曲「イルミネーション」について話を聞いた。 ■『となりのトトロ』に登場するカンタをイメージ ――高校球児役の際、丸刈りにしたことへの反響はいかがでしたか。 髪をここまで短くしたことがなかったので、切ることはだいぶ勇気がいることでした。周りからは「似合っているね」「モンチッチに似ているね」など感想をもらいました。自分で髪を剃ったのですが、丸刈りにしてみて意外と悪くないなと思いました。 ――自分で剃るのは怖くなかったですか。 怖かったのですが、最初はどうしても自分で剃りたかったんです。 ――米田家で行われたフェスティバルの打ち上げのシーンで、韓国ドラマ『冬のソナタ』でペ・ヨンジュンさんがやっていたポーズ、「ヨン様ポーズ」をされていましたが、ペ・ヨンジュンさんを参考にされたりも? このポーズをすることは台本に書いてあったのですが、どこまでやっていいのか悩みました。やり切った方がいいと思って、手の置き方や首の角度などペ・ヨンジュンさんを研究してやったのですが、ちょっとやりすぎたのかなと思っています(苦笑)。 ――速い球を投げるのに苦労されたそうですね。 一キロ、二キロ速度を上げるのも本当に難しかったです。高校球児役だったので、監督からは太らないでほしいと言われていたのですが、体重を増やさないとなかなか球の速度が出なかったので、密かに増量していました(笑)。 ――翔也にはさまざまな困難に訪れますが、それについて思うことはありますか。 すごくいいなと思いました。成功は保証されていないけど、生き様が描かれているのは、この作品の魅力の一つだと思いました。 ――翔也を演じるにあたり準備していたことは? 栃木出身の役だったので栃木弁です。方言指導者の猪瀬さんという方についていただいて、毎日音声を聞いて勉強して、撮影に臨みました。僕は愛知出身で方言のある地域で育っているので、観ている人に違和感を与えたくないと思い、頑張りました。また、高校生から大人まで演じることになるので、声色や喋る表情を特に意識していました。結といる時にカッコつけてしまうところは、『となりのトトロ』に登場する少年、カンタ(大垣勘太)をイメージしていました。 ――朝ドラに出演することが夢だったと先ほどお話しされていましたが、楽しみにしていたこと、また不安だったことはありましたか。 撮影が大阪ということや長いスパンでの作品をやったことはなかったので、夢が叶って嬉しいという気持ちとともに、正直不安も大きかったです。歴代の朝ドラヒロインを務めた方の中には親しい方もいたので、話を聞くととても大変だと聞いていたので不安もありました。その中で環奈さんは、大変そうな素振りを全く見せずに撮影に臨む姿を見て、僕の中の不安もなくなりました。楽しみにしていたことと言えば、祖父母が喜んでくれる姿です。実家からとても近いところに祖父母の家があるんですけど、 よく朝ごはんを一緒に食べながら朝ドラを観ていたのを思い出します。祖父母から頻繁にメッセージで「放送、楽しみにしてるよ」といったメッセージが来て嬉しかったです。じいちゃん、ばあちゃん孝行ができて本当に良かったと思っています。 ――橋本環奈さんのおかげで、不安は吹き飛んだわけで。 はい。最初の頃は徐々に大変になって、環奈さんが疲弊してくるんじゃないかと思っていたのですが、それは取り越し苦労でした。環奈さんのご両親が撮影を見に来てくださっていて、そのときにお会いしたのですが、とても素敵なご両親で環奈さんが明るくて誰に対しても分け隔てない感じの性格なのも納得でした。 ――そんな橋本環奈さんの魅力はどんなところに感じていますか? 環奈さんとは二回目の共演です。初めて共演したときのチームが仲が良くて、定期的に食事にも行っていたので、繋がりがある中での今回の共演でした。環奈さんはありのままで何も取り繕わず、人や作品に対してすごく愛がある人で、常に明るく太陽のような存在で現場にいてくれるので、みんなが救われています。また、スタッフさんの名前を覚えているのもすごいなと思いました。 ――特にこのシーンのお芝居に注目してほしいというのはありますか。 翔也が肩を壊して野球ができないかもしれないと告白をするシーンがあるのですが、僕のことをずっと見てくれているマネージャーさんがいるのですが、このシーンでモニター前で泣いていたらしくて。いろんな現場もあってやってきた中で、マネージャーが僕のお芝居を観て、泣いたという記憶はないので、身近な人を感動させられたというのは、自分の中ですごく嬉しかったです。僕自身もすごく集中できたシーンで、まだ映像は見られていないのですが、自分も楽しみにしているシーンです。 ■初めて観に行ったコンサートはB’z ――さて、本作の主題歌はB’zの「イルミネーション」ですが、この楽曲は佐野さんはどう感じていますか。 実は父がB’zさんの大ファンで、父が唯一ファンクラブに入っているアーティストさんなんです。会報とかも家に置いてあったりして、僕もその影響でB’zさんのファンになりましたし、初めて観に行ったコンサートもB’zさんなんです。 ――人生初のライブがB’zで、朝ドラ初出演の主題歌もB’zとは、すごい縁ですね。 本当にすごいご縁だなと思いました。父もすごく喜んでいました。曲に関しては、B’zさんの曲が朝ドラだとどういう感じになるのかとても楽しみにしていました。僕の中でB’zさんは激しいロックのイメージがあったので、「イルミネーション」を聴いて、すごくドラマに合っているなと思いました。また、ドラマのオープニングを環奈さんとヘアメイクさん、僕の3人で観たのですが、3人ともすごく感動していたのを覚えています。稲葉(浩志)さんの声はどんな曲調でも合う、さすがスターだなと思いました。すごく好きな1曲になりました。 ■意識が変わったある方からの言葉 ――翔也と自分が重なる部分はありましたか。 僕はお芝居がリアルになるので、自分と似ているところをよく探します。日記を書いたりするところも一緒で、探せば探すほど、自分と翔也に共通点が多いと感じました。違うところがあるとすれば、結のことをフルネームで「米田結」とは呼ばず、最初の方で呼び方を決めると思います。 ――その日記に“朝ドラに出演する”という夢を書いていたとお聞きしています。佐野さんが日記を書き始めたきっかけはどんなものだったのでしょうか。 僕は節目に人生設計をするのですが、20歳ごろに自分が思うような結果が出ておらず絶望し、挫折感を味わったことがありました。もっと頑張らなければダメだと思い、自分が一番頑張っていた時期っていつだろう? と振り返ると大学受験のときだったなと。その時は周りに驚かれるくらい勉強を頑張っていて、それと同じくらい頑張ればいいんだと思いました。そこで思い出したのが日記を書くことでした。 ――その夢を叶えるためにどんなことをやっていましたか。 日々全力でやること、夢や目標を口に出して言うことを心がけていました。また、ある俳優の方と共演させていただいた時に教えていただいた、「ワンカットに命をかけろ」という言葉がとても僕の中で大きかったです。田中さんは自分が亡くなったときに使われるシーンが大事だとおっしゃっていて、常にそういう気持ちで演じることの大切さを教わりました。 ――撮影を経て、役者として一皮剥けたなと思う瞬間はありましたか。 実は一皮ではなく、「役者として“1.5皮”剥ける」というのが今年(2024年)の目標だったのですが、今のところまだ感じていないです。ただ、周りの方々に佐野勇斗を知ってもらうという意味では頑張れた1年だと自負しています。ただ、日々お芝居をするたびに、 もっと実力をつけなければと思いますし、自分の伸びしろはまだまだあると信じています。 ――食事と栄養に向き合う場面も多い本作。佐野さんは食事についてどう考えていますか。 僕は食に関してはけっこう疎いです。それこそ毎日同じものでもいいくらい(笑)。ただ、この作品で食事の大切さを学ばせていただきました。それもあって最近は野菜をよく食べていますし、筋トレもしているので、タンパク質なども気にするようになりました。 ――元気が出る食べ物は? 食べると元気になるのは味噌ラーメンです。 ――では、ドラマのタイトルにちなんで、おむすびで好きな具も教えてください。 えっ!? おむすびの具ですか(笑)。最近は昆布です。実は昔は食べられなかったので、絶対に昆布は選ばなかったんですけど、大人になって自然と昆布を食べられるようになりました。それこそ昔は明太子とかツナマヨが大好きで、そればかり食べていたのですが、昆布の美味しさを知って一つ大人になった気がします(笑)。 ――本作は繋がりを大切にしている作品ですが、縁を感じている人は? M!LK(佐野が所属するボーイズグループ)のメンバーです。グループの節目となるライブのMCでメンバーそれぞれが想いを語ったのですが、心にグッとくるものがありました。それを聞いて改めていいチームだなと思いましたし、自分もメンバーのために全力で頑張りたいと思いました。 ――多くの作品に出演されていますが、ご自身にとって『おむすび』はどんな作品になっていますか。 朝ドラに出演しているという実感は、撮影中もあまり湧きませんでした。映像チェックで『おむすび』のテロップを見たときに鳥肌が立ち、そこでやっと実感が湧きました。夢は誰しもが叶えられるわけではないと思っていて、頑張って一つの結果を掴み取れたのは自信につながりました。後輩などにその気持ちを伝えていけたら、という気持ちが芽生えました。 (おわり) 【番組情報】 連続テレビ小説『おむすび』 NHK総合 月曜日~土曜日 朝8時~ ※土曜は1週間の振り返り 【キャスト&スタッフ】 出演:橋本環奈 佐野勇斗 麻生久美子 宮崎美子 北村有起哉 松平健 脚本:根本ノンジ 音楽:堤博明 主題歌 :B’z「イルミネーション」