【陸上】エリヨン・ナイトンの暫定資格停止処分が解除 ドーピング検査陽性反応も「過失なし」で五輪選考会出場へ
6月19日、米国アンチドーピング機構(USADA)は、男子短距離のエリヨン・ナイトン(米国)の暫定資格停止処分を解除することを発表した。 19年世界陸上代表・豊田将樹がドーピング違反で2年間資格停止「意図的な摂取ではない」富士通が経緯説明 20歳のナイトンは昨年のブダペスト世界選手権200m銀メダリスト。17歳だった21年にはウサイン・ボルトのU18世界記録を更新する20秒11をマークして、早くから注目を集め、同年の東京五輪で4位に入るなど陸上界のホープとして期待されている。 USADAの報告書によると、ナイトンは3月26日に行われた競技会外検査で禁止物質「トレンボロン」が検出され、4月12日に暫定処分を下したという。 しかし、6月14日と16日にナイトンとUSADA双方の代理人が立ち会いの下で行われた審問会において、ナイトン側は「トレンボロンは米国内で生産される肉牛に対して合法的に使用されている家畜成長促進剤であり、陽性反応が出たのはその肉を摂取したため」と主張。 この主張が認められ、USADAはナイトンに過失はなかったとして資格停止処分を解除したとしている。 USADAのCEOであるタイガート氏は「我々は陽性反応が出たすべてのケースで、義務付けられている検査、処分を実行した」とコメント。そして、「規則で義務づけられた通りの審査がされたことで、透明性が保たれたことに安堵している」と加えた。 また、資格停止処分の審査には通常、長い期間が必要となるが、今回の審査は21日から始まる全米五輪選考会の開催前に事態を解決するため、緊急に実施したことも発表されている。ナイトンは2月の室内競技会以降レースには出場していなかったが、今回の裁決により五輪選考会への出場が可能となった。 「トレンボロン」については、男子400mハードルの豊田将樹(富士通)が22年に検体から検出されたことにより、資格停止処分が確定。しかし、今年4月に「海外産の牛レバーを購入し、それを摂取したことが原因であり、意図的ではない」という豊田の訴えが認められ、処分期間が4年から2年へと短縮されている。
月陸編集部