部下、後輩への〈ダメ出し〉で損する人・得する人の「決定的な違い」… 「ずっと気になってた」は絶対NGワード
「そもそも」を使って問いかけてみる
【損】根本から考え直してほしい ↓ 【得】そもそも何のために始めたんだっけ? このままでは良くないから、全体をやり直したい。大きな転換点です。このとき、「根本から考え直してほしい」という伝え方の問題点は、ここまでの過程の全否定に聞こえてしまうところです。そしてそれ以上に、他人事のように聞こえてしまうところです。 今のままではダメなのでそう言いたくなる気持ちも分かります。ですが、あなたにもその責任の一端はあるはず。「根本から考え直そう」「ゼロベースでやってみよう」「ガラガラポンで」など、どれも責任を押し付ける伝え方という印象が拭えません。 「そもそも」という質問形式でアプローチすることで、相手はもちろんあなた自身も原点に立ち返り、もう一度検討をやり直すことができます。 例えば、商品開発のプロジェクトチームのメンバーが方向性を見失っていると感じた場合、「そもそもこのプロジェクトは何のために始めたんだっけ?」と問いかけます。 メンバーはプロジェクトの目的を再確認できるでしょうし、あなた自身も同じく一員として考え直すことができます。 もし課題が明確なのであれば、「元々はこんなターゲットに届けたくてスタートしたプロジェクトですよね? 今の味わいで本当にターゲットに刺さるのか、もう一度話し合いましょう」と仕切り直すのもよいでしょう。
「感情の決めつけ」をしてはいけない
【損】悔しくないのか? ↓ 【得】ゴールを決めよう 世の中にはさまざまなハラスメントがありますが、グレーゾーンの一つに感情の決めつけがあると思います。「悔しくないのか?」が典型例です。「こんな状況を普通は悔しいと思うはずだ」という風に、相手の感情を決めつけているわけです。 こういう言い方で火がつく人もいるかもしれませんが、「はい、悔しいです」以外の回答を認めない圧迫感を煩わしく思う人も結構いるのではないでしょうか。 もっと頑張ってほしい、と思ってしまうときに起きているのはボーダーラインのズレです。OKとOUT、GOODとBADの境界線があなたと相手でズレているわけです。 あなたはもっとやれるはずだと思っていても、相手はかなり無理をしている状況かもしれません。ですから今やるべきなのは、相手の感情を煽ることではなくボーダーラインをすり合わせることです。 例えば「ゴールを決めよう」と切り出し、何を達成することがお互いにとって重要なのかを話し合ってみましょう。 ゴールというと中長期のイメージがありますので、もう少し短期間の場合は「次のアクションをどうするか、話し合おう」と目の前の取り組みについて話し合うのもいいでしょう。 相手とこちらの具体的な目標をやりとりして初めて、お互いのボーダーラインのズレを修正できるのです。
藤田 卓也(コピーライター)