なぜ令和ロマンはM-1連覇を達成?「この素晴らしい空間を維持するために…」 根底に〝利他〟のスタンス
大学生の時点で「割り切ってた」
続いて、「くるまがどのようにお笑いと向き合ってきたか」という点に注目してみたい。 そもそも幼少期にバラエティー番組の司会者である明石家さんまや島田紳助を見て、「偉そうにしてて格好良いと思っていた」というくるま。筆者がインタビューした中でも、「制圧してる人が好きだった」と語っていたのが印象的だ。 大学時代、お笑いサークル「お笑い道場O-keis」に所属し、複数のコンビを組んでネタを披露し始める。そんな中で、後の相方となる先輩・松井ケムリともコンビを組んだ。くるまは著書『漫才過剰考察』(辰巳出版)の中で、「勧められて入ったお笑いサークルでもそこまで熱心にネタづくりなどできなかった」と書いているが、実際はどうだったのだろうか。 2024年12月、同世代のラパルフェ・都留拓也に大学時代のくるまについて尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。 「高比良(くるま)って昔からずっとあのフォーマットでネタを作ってて。本人も大学生の時点で『僕は超面白いことは言えないけど、ボケを連発する漫才はかなり作れるから、それで行くしかない』って割り切ってたんです。それ聞いたときに『やってるうちに面白くなるネタだから、この人はいつかすごく強くなる』と思って」<『週刊プレイボーイNo.52-53』(集英社)より> また、YouTubeチャンネル『ラパルフェの俺がついてるぜ』の動画(2023年12月29日配信回)の中で相方の尾身智志が語るところによると、「1年の頃から、いろんな大学のサークルのライブ観に行って、飲み会とかも顔出して」その相手を分析し、自身が所属するサークルの先輩にメリットのある情報を報告するような「偵察要員」だったという。 得意、不得意の「割り切り」、大学お笑い事情の「分析」、そして、テレビ司会者が放つ「制圧」へのあこがれ。現在のくるまの個性を語るうえで欠かせない3つの要素は、すでに大学時代から備わっていたようだ。