シーホース三河 三遠との接戦を制し3年ぶりのCS出場へ 柏木真介が語る「勝ち切れた要因」と「未来の課題」
柏木真介「ゲームの駆け引きはまだまだ」
レギュラーシーズンを36勝24敗の中地区2位でフィニッシュした三河。シーズン中盤には8連勝を記録し、強さを誇示した時期もあった。最終戦までCS争いがもつれたのは、ライバルチームの奮闘はもちろんだが、勝つべきゲームを落としてきた自分たちの責任もある。 レギュラーシーズンを終えて、長らく三河を牽引してきた柏木真介に、俯瞰して今季の戦いを振り返ってもらった。CS出場については、チーム全体の成長と共に「シーズンを通して外国籍選手が安定してプレーできたこと」と「新体制になってプレーの強度が上がったこと」を挙げてくれた。 ここ数年はシーズン中に外国籍選手が入れ替わるなど、メンバーが落ち着かないことがあった。コミュニケーションと共通理解が大切なバスケットボールにおいて、この影響は非常に大きい。今シーズンは3人の外国籍選手がコンディションを維持し、致命的な怪我もなく乗り切ることができた。 プレーの強度については数字から見て取れる。平均失点は79.3点(昨シーズン)から75.8点(今シーズン)に改善。平均リバウンド数や平均スティール数、平均ブロック数もわずかながら向上し、理想には遠いかもしれないが、リッチマンHCが掲げる「ディフェンスから入るチーム」を体現できた。 一方、チームの成熟度、特にゲームの駆け引きについては「正直まだまだ」と課題に挙げた。柏木は言う。 「プレーの強度や遂行力、システム化という面では、今シーズンはすごく変わりました。勢いがあるときは本当に強いチームです。でも、大量リードをしていて逆転される試合は、僕からすれば『なぜ?』となりますし、ビハインドから追いついて接戦の末に落とすのは経験不足。どうやって流れを持ってくるのか、悪い流れをどう断ち切るのか、こうしたゲームの駆け引きは正直まだまだです。特に強豪とクロスゲームになったとき」 柏木自身、なかなかプレータイムが得られない中、逆転を許すチームを見ていて歯痒さがあったはず。ただ、シーズン中にポイントガードの長野誠史や久保田義章から、ガードとしてのプレーについて「柏木さんに相談した」という話を何度も聞いた。スタッツに残るものではないが、おそらく柏木の貢献度は計り知れない。 「僕は、チームの顔はポイントガードだと思っていますし、試合に勝つのも負けるのもポイントガード次第。2人に関しては気にかけてきましたし、求められることに対してはしっかりと答え、押し付けるのではなく『こういう選択肢もあるよね』とアドバイスしてきました。数ある選択肢の中から自分で選び、自分のカラーを出していくこと。そういう点では、2人とも自分のカラーが出せていたと思いますし、側から見ていて成長を感じました。(後輩の成長に)やりがいを感じて僕も楽しくやれましたね」と柏木は振り返る。 来週からいよいよCSが始まる。リッチマン体制になって1年目で、柏木はチームの若さを認めた上で「構えずに思い切ってやること」と話す。気負う必要はない。三河らしいバスケを続けることが、1日でも長くこのメンバーで試合をやれることにつながるはず。 「初めてCSでプレーする選手がほとんどですし、僕たちに関しては開き直ってやるべきだと思っています。CSに限っては、勢いで勝ち上がっていける部分もあります。守るものもないので、今シーズンにやってきたことを出し切るだけ。そこに尽きると思います」