「友だちと同じ学校に通いたい」 知的障害ある14歳の願い 公立高校入試、空きがあるのに…”定員内不合格” 「将来考えると通わせたい、でも…」母が抱く複雑な思い
公立高入試、定員が空いても「不合格」が全国で課題に
公立高校の入試で、志願者が少なくて募集定員に空きが出ても不合格になる「定員内不合格」が、全国の教育現場の課題として取り上げられるようになっている。障害者の支援団体などは、何らかの障害がある受験生が定員内不合格となる事例が目立つとし、障害者の学習機会を広げる観点から合否の考え方を見直すよう求めている。長野県内の受験生らを取材し、現状を探った。 【写真】学習机で勉強をする男子生徒
注目されるようになったきっかけは、れいわ議員の国会委質疑
定員内不合格は、重い身体障害があるれいわ新選組の舩後靖彦参院議員が2019年に国会委員会で質疑し、全国的に注目されるようになった。舩後氏は、知的障害のある沖縄県の受験生が定員割れした普通高校を不合格になった実例を挙げ、制度の改善を訴えた。
22年度は全国で1631人、23年度は2004人
文部科学省が22年度に初めて行った調査によると、公立高校の定員内不合格は同年度に全国で延べ1631人で、23年度は2004人。同年度の都道府県別は東京や神奈川、愛知など9都道府県がゼロだったのに対し、福島県(118人)や福岡県(153人)など100人超のケースもある。文科省は「障害を理由に入学を認めなかったということがあれば、あってはならないことだ」とする。
長野県「障害は合否に影響しない」と説明するが…
長野県はどうか。県教育委員会は「入試では能力を総合的に判断しており、障害の有無が合否に影響することはない」と強調する。ただ「県立高校では原則として定員内不合格を出さないようにしている」と説明するものの、22年度は27人、23年度は22人の定員内不合格が出ているのが実情だ。
「教育を受けられる能力と適性を判定」
ゼロだった他県では、募集人数を満たすように合格者を決める方針を入学者選抜要綱に記している例がある。一方、長野県は「高校の教育を受けるに足る能力と適性などを判定して行う」(25年度選抜要綱)としており、こうした違いが定員内不合格の有無に表れている可能性がある。
最終的には校長が判断
県教委高校教育課は、合否の判定は高校と県教委が協議する場合もあるが、最終的には校長が判断すると説明する。その判断には、高校への入学後の教育課程を履修できる「能力と適性」があるかといった観点が中心になっているとみられる。