韓国が個人情報保護違反でワールドコイン財団と開発会社に罰金科す、法順守で活動継続は認可
韓国がワールドコイン財団と開発会社に罰金
ワールドコイン財団(Worldcoin Foundation)と「ワールドコイン(Worldcoin:WLD)」運営・開発元のツール・フォー・ヒューマニティ(Tools For Humanity:TFH)が、韓国の個人情報保護法に違反したとして、合計で11億400万ウォン(約1億2,200万円)の罰金支払いを命じられた。韓国の個人情報保護委員会(PIPC)が9月25日発表した。 なおPIPCは今年3月、暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールドコイン」による個人情報の収集・処理に対する苦情申告を受け、同プロジェクトの調査を開始していた。 発表によるとその調査の結果、ワールドコイン財団と同財団から個人情報処理業務を委託されたTFHが、韓国にて法的根拠なく虹彩情報など個人情報を収集し、これを国外に移転。このことが個人情報保護法上の義務を遵守していないとPIPCは指摘している。 具体的には、虹彩情報の「収集・利用目的」と「保有・利用期間」の告知事項をPIPCへ報告しなかったことが「機密情報処理制限義務違反」にあたるとのこと。またワールドコイン財団およびTFHが虹彩情報やメールアドレスなど収集した個人情報をドイツなど国外に移転した際に「個人情報が移転される国」、「個人情報を移転される者の氏名(法人名)および連絡先」など保護法で定めた告知事項をPIPCに知らせなかったことが、国外移転義務違反にあたると指摘されている。 その他にも、調査当時には虹彩情報の削除および処理停止などを要求できる方法・手続きを設けていなかったこと、アプリ加入時の14歳未満の年齢確認が不十分であったことについてもPIPCは指摘している。なお調査過程で虹彩情報の削除機能と現場での身分証明書確認手続きは導入されていることは認識しているとのこと。 これら違反についてPIPCはワールドコイン財団へ7億2,500万ウォン、TFHへ3億7,900万ウォンの罰金支払いを命じている。 ただしPIPCは、ワールドコインが問題を修正し、法を順守する範囲であれば韓国での機密情報の収集は禁止しないとも伝えている。
大津賀新也(幻冬舎 あたらしい経済)