全国にまんべんなく広がる「松田」姓のルーツを名字博士が解説!
松田(まつだ)
「松田」は、沖縄県でも34位に入っているなど、全国にまんべんなく分布している名字の一つです。沖縄県の名字は独特なため、沖縄県以外に広く分布する名字はたくさんありますが、沖縄県も含めて多い名字はあまりありません。 現在では、福島県・栃木県・山梨県の3県を除いてすべて200位以内に入っています。最も多いのが山形県で19位、次いで奈良県が20位。以下も石川県と宮崎県が22位となっているなど集中している地域も各地に分散しており、本当にまんべんなく分布しているのがわかります。 これらの「松田」の由来は地名です。 「松田」という地名は全国各地にあり、それらをルーツとして各地で「松田」という名字が誕生ました。 こうした各地の「松田」のなかで、最も有名なのが相模国足柄上郡松田郷(現在の神奈川県松田町)をルーツとする松田氏です。藤原北家波多野氏の庶流で、戦国時代には同地の有力氏族でした。 備前国の戦国大名の松田氏もこの一族であるなど、全国の松田氏はこの相模松田氏の末裔と伝えられている家が多くあります。 なお、福井県大野市には「松田」と書いて「まった」と呼ぶ地域もあります。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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