避難生活の環境向上で関連死防止を 能登半島地震、WG提言
能登半島地震を踏まえ、災害対応のあり方について検討してきた政府の有識者ワーキンググループ(WG)が26日、今後の対策の方向性をまとめた報告書を公表した。在宅避難者の支援などで避難生活の環境を向上させ、災害関連死の防止策を強化するよう提言している。 【写真特集】元日の地震から一変 豪雨と二重被災した孤立集落で見た爪痕 能登半島地震では、持病の悪化などによる災害関連死の認定が石川、新潟、富山の3県で計235人(22日現在)に上る。直接死の227人を上回り、関連死を防ぐための取り組みが課題となっている。 報告書では、関連死のうち年齢が公表されている136人の8割超を80代以上が占めたと指摘。高齢化地域での関連死を防止するために「場所(避難所)の支援」から「人(避難者)の支援」へ考え方の転換が必要だと強調した。 具体的には、在宅や車中泊で生活する被災者を把握して避難所と同様に支援▽避難所にパーティションや段ボールベッドを早期に設置▽入浴設備やキッチンカー、トイレトレーラーを確保――などの対策をさらに進めるよう求めている。 また、被災者の支援には専門性を持つNPOなどとの連携が重要だとして、ボランティア人材を育成する仕組みを充実させるとともに、地域の人材を把握して被災地とのマッチングに生かせるデータベースを整備すべきだなどと記した。 WGの主査を務めた名古屋大の福和伸夫名誉教授は「災害関連死の問題は南海トラフ巨大地震ではさらに深刻になるかもしれない。必要な対策を網羅的に記したので、国や都道府県が連携して対策を進めてほしい」と述べた。【木原真希】