《ブラジル》特別寄稿=パリ五輪ラテンアメリカ・カリブ諸国のメダル状況=人口比でみる獲得の意外な効率性=桜井悌司(ラテンアメリカ協会顧問)
人口と金メダルの関係
パリ・オリンピックの会期中、毎日熱心にテレビ観戦していたが、メダル、なかんずく金メダルを取ることがいかに難しいことであるかを再認識した。とりわけ驚いたのは、カリブ海の超小国のドミニカ国とセント・ルシアが金メダルを取ったことである。この事実に触発され、金メダルと人口との関係に興味を持ち、遊び心で調べてみた。以下、いくつかのコメントである。 女子3段跳びで金メダルをとったドミニカ国の人口は、7・2万人、陸上女子100mの金メダルは、セント・ルシアで人口は18・3万人である。すなわち、それぞれ7・2万人、18・3万人当たり金メダル1個を獲得したということになる。断トツの効率性である。 この表2のリストにある国の中で見ると、ブラジルは、7177万人、同様に中国は3500万人、米国は841・3万人、ドイツは706・8万人、日本は624・7万人の割合で1個の金メダルを獲得したことになる。 反対に金メダル1個当たりの人口の少ない国は、前述のドミニカ国7・2万人、セント・ルシア18・3万人、ニュージーランド47・3万人、オランダ118・4万人、オーストラリア145・9万人、カナダ334・2万人、韓国396・6万人となる。先進国の中ではニュージーランドは素晴らしいパーフォーマンスである。韓国は日本と比べてもかなり効率的に金メダルを取っていると言えよう。ジャマイカも金メダル1個に終わったが、282・7万人と効率が良い。 インドは、人口14億1717万人の超大国であるが、パリ・オリンピックでは、金0、銀1、銅5の合計六つのメダルを獲得した。14億の人口にしても金メダルを取れなかった。