ええっ!?「富士スバルライン」廃止で「登山電車」へ転換するって!? 富士山五合目まで「電車だけ」になるって!? 大混雑の解決策「富士山登山鉄道」の全貌とは
「富士山登山鉄道」ほんとに作れるの?
よく取り沙汰されるのが「急カーブを曲がれるのか」「急勾配を上れるのか」というもの。一番きついところで、「半径40.5m、勾配80パーミル」「半径29.5m、勾配53パーミル」という2か所の「急カーブしつつ急勾配」ポイントがあります。
これについて、中間報告では似たような事例を紹介。都電荒川線の王子駅付近に「半径49m、勾配67パーミル」という急カーブ急勾配ポイントがあります。結論では正直「きびしい」として、「安全走行を検証して必要な場合にはレールへ摩擦調整材などの塗布などを行う必要がある」としています。 また、最急勾配は88パーミルになる想定。一般的な車輪と線路の鉄道(粘着式)で日本の最急勾配は箱根登山鉄道の80パーミルですので、富士山登山鉄道は未知の領域になります。 研究結果ではポルトガル・リスボンに135パーミルという事例があるとしつつ、ブレーキをどうするかが重要な課題だとしています。通常の摩擦ブレーキや回生ブレーキに加え、セラミック粉を散布して摩擦をさらに上げる装置も想定されています。さらに「全車両をモーター搭載車にすることでパワーも確保できる」という想定もあります。 報告書のうちかなりのページ数が急カーブ・急勾配に割かれていて、いかに重要なファクターであるかが浮き彫りになっています。 ほかにも、高地特有の強い寒さや、山岳地帯ならではの落ち葉の問題、バッテリー走行と集電のバランスなど、やはり「未知の領域」がたくさんある富士山登山鉄道。車両メーカーも「全く新たな車両開発」として、見積を行うのも現時点で難しいと回答しています。 中間報告では、さらなる検討が必要としつつ、方針転換を余儀なくされるほどの絶対的な困難ではないという内容になっています。 ※ ※ ※ 確実なことは、富士山登山鉄道が開業すれば、山梨県道路公社が運営管理する「富士スバルライン」は完全に通行終了となります。現在、7月~9月の約2か月はマイカー規制となっていますが、開業後は通年で山麓駐車場に停めて入山することとなります。 まだ事業化に向けた道のりは決して短くないですが、山梨県の危機意識は強く、機運は高まりを迎えています。
くるまのニュース編集部