保育園で動画を視聴させるのはなぜ? 現役保育士が語る意外な“動画の活用法”
保育園で動画を見る理由って?
保育園で動画を見ている理由としては様々なものがありますが、主に以下の2つが考えられます。 ・行事や活動で必要だから ・人手不足だから 子ども番組や映画をただ見ているだけであれば、なぜ保育園で?と思われる保護者も多いと思います。 ただ、活動や行事で必要であるというのであれば、納得して、逆に楽しそう!と感じることもあるかもしれません。 <保育園の活動としての動画視聴> 保育園で英語活動をしているという園の中には、英語の歌や動画をタブレットで観る時間があることも。保育園の英語活動は多くても週に1回程度。英語活動の振り返りとして、朝の会や帰りの会などで動画を見ながらみんなで1曲一緒に歌ったり踊ったりするのはよくある光景かもしれません。 また、とある保育園ではトウモロコシを子どもたちが栽培し、そのトウモロコシを使ってポップコーンを作り、ポップコーンを片手に映画を見る……という活動の展開を行っていました。 トウモロコシの栽培から映画という一見繋がらないようなことでも、子どもたちの声を拾いながら、保育士が活動を展開していったのではないでしょうか。 <行事の振り返りとしてのビデオ鑑賞> 運動会や発表会など大きな行事の後、実際に自分たちの発表している姿を皆で見る時間を設けることがあります。 動画で録ったものを流すと「恥ずかしいー」という声や「かわいいー」なんていう声、「先生ピアノ間違えたじゃん」なんていうツッコミまで聞かれる時があります。 年長クラスともなると、行事の練習風景を動画に録って皆で見ると、「もっとこうしたほうがいい」「後ろ向きから始めた方がいいんじゃないか」なんていう大人顔負けの議論が生まれることも。 自分たちの姿を客観的に見てはじめて得られることもあるので、そんな動画の使い方もあるということも覚えておいてもらえると嬉しいです。 <地域交流や他園との交流として使う> 一言でタブレットや液晶画面の使用というと、子ども番組やYoutubeといった動画サイトを見ることにつながりがちですが、最近は地域交流や他園との交流においてタブレットやモニターを活用することもあります。 zoomやSkypeなどのツールを用いて、他の園との交流を行ったという園もありました。 系列園があっても電車を乗り継いだり、中には飛行機で行くような距離にある……という園も。そんな遠い距離でもzoomを使えばあっという間に他園の友だちと繋がることができますよね。 「今こんなことに取り組んでいるんだよ」「こんな遊びをやったら盛り上がった」子どもたちはすぐに友だちになり、画面越しに会話をしたりじゃんけんをしたり、中には「日曜日に遊ぼう」なんてかわいい約束をしたりする子もいたそう。 調べてみるとおもちゃのプロと繋いで作り方を教えてもらったり、系列園にいる楽器が得意な先生と繋いで音楽鑑賞会を楽しんだという事例もありました。 zoomやSkypeといったツールを活用している園は今後も出てくると思うので、タブレットの使用と言われた時はどんなことをしたのか聞いてみたり、保育園側も積極的に発信していくと、保護者も安心できるのではないでしょうか。 <感染症対策など限定的な使い方> 保育園で感染症が流行ってしまい、他クラスとの合同保育を避けたい……という時に、動画を活用することがあります。子どもの人数が減った延長保育の時間は合同で過ごす園が多いとお思いますが、1クラス別にするだけでそのクラスを見る保育士が必要となります。 その時間だけ保育士が足りないとなった場合、子どもに動画を見ていてもらい、保育士が少なくても対応するというのは、実際に行ったことがありました。 感染症対策以外にも行事の準備で前日の夕方に動画を見ているという園はフォロワーさんからもたくさん寄せられました。慢性的にみているのではなく、必要な時に活用しているという保育園もありますね。 <単純に人手不足> 動画視聴やタブレットの利用が良い方向に働いている園も多いですが、中には保育士が不足している結果、動画に頼っているという園も無くはありません。 保育士はシフトで働いているので、日中は人手があっても延長時間は保育士が少なく、子どもを見切れない……なんていうことも。 実際に新卒で私が勤めた園でも、夕方18時以降は子どもたちがホールに集まって動画を見てお迎えを待つということが多かったです。フォロワーさんからも「土曜保育や延長保育の時に見ている」という声が多くあがりました。 とはいえ、人手が少なくて子どもたちが動画を見ているのに、子どもたちの後ろで保育士同士がおしゃべりをしている……というのであれば保護者の心象は良くないですよね。 保護者の方で動画を見ることに対して不満を感じる理由の多くは、動画を見ている間の保育士の姿や、見せている内容によるのではないのかなと感じました。