<頂点つかめ!2020センバツ>第1部・チームの軌跡 健大高崎/下 試合楽しんで力発揮 声掛け合い逆転劇、転機に /群馬
<頂点(てっぺん)つかめ!2020センバツ> 「転機だった」。多くの選手が口をそろえるのは、昨年10月の関東大会1回戦・常総学院戦だ。試合は中盤の4失点が終盤まで重くのし掛かる展開だったが、雰囲気で負けた前橋育英戦を教訓に、試合を楽しもうと終始、選手間で声を掛け合った。 その中で、粘り強く投げたのは五回から3番手で登板した橋本拳汰選手(2年)だった。県大会では制球に苦しんだが、「投げるのが楽しく、硬くならなかった」と、5回を無失点に抑える。そして九回、小沢周平選手(1年)の2点本塁打などで逆転した。戸丸秦吾主将(2年)は「大会を楽しもうと意識し、自分たちの力を発揮できた」と逆転劇を振り返る。 この一戦を自信に、チームは破竹の勢いで勝ち進んだ。準決勝・東海大相模戦では「強気で内角を攻めることができた。強打者に対する抑え方がわかった」と下慎之介選手(2年)が2失点完投。関東大会を制して初めて出場した明治神宮大会でも勢いはとどまらず、戸沢昂平選手(2年)は「戦うたびにチームが強くなるのがわかった」と話す。 快進撃を支えたのが、青柳博文監督が「全員に力がある。試合では調子に合わせて起用している」という厚い選手層だ。関東大会決勝・山梨学院戦で完封した橋本拳選手は背番号10。明治神宮大会で7打点を挙げた山本遼哉選手(2年)も関東大会では背番号17だった。県大会途中から三塁手に定着して下位打線を支える山畑陸選手(同)は「高いレベルでの競争が、試合でのよいパフォーマンスにつながる」と自信を見せる。 一方、明治神宮大会決勝・中京大中京戦では、1点の重さを痛感した。チームは今、好投手をも攻略すべく打撃力向上へスイングを重ねる。「(決勝を経験し)改めて日本一への気持ちが強くなった。チームが全国制覇の方向を向き始めている」と戸丸主将。紫紺のセンバツ優勝旗獲得へ高い意識で臨む。【妹尾直道】