マー君争奪戦 ダークホースにマリナーズ浮上
「来るのか、来ないのか」。楽天の決断待ちで、今オフの投手市場が凍結していた米国24日。クリスマス・イブの午後9時半頃、ビッグニュースが届いた。新ポスティング制度への不信感から態度を保留していた楽天が、田中将大投手のメジャー挑戦を容認。ポスティング申請することを公にした。 ヤンキース、ドジャース、カブス、ダイアモンドバックス、レンジャースなど、入札が有力視されていた球団に加え、入札額に2000万ドルの上限が設けられたことで、ツインズやアストロズなど中小球団も参戦必至。プライスやシャーザーなどのトレード移籍と違って、田中獲りには交換要員で若手有望選手を失うリスクもなく、12~15球団が入札するのでは、と見られる。 ■最有力はヤンキース 最有力候補はペティートが引退し、サバシア、黒田、ノバに続く先発補強が急務のヤンキース。先日、決まらない田中の去就に痺れを切らしたキャッシュマンGMは、「来るのかどうか分からない選手をアテにするより…」と方向転換を匂わす発言をしたが、それは、楽天側への“牽制球”だろう。ニューヨークのデイリーニュース紙の電子版は24日付けで直「ヤンキースは最大のクリスマスプレゼントを貰ったかも」と、ポスティング申請を歓迎。ニュージャージー・スターレジャー紙の電子版は「ヤンキースは、伊良部、井川の失敗で日本の投手市場から撤退気味だったが、ハル・スタインブレナーオーナーが高く評価する田中には、球団を挙げて獲得に動く」と報じた。 ■ドジャースはトーンダウン 対抗馬とみられたドジャースが、ここに来て若干トーンダウンしているのは興味深い。資金力では随一とみられ、シーズン中も田中を徹底調査。11月には、コレッティGMも「才能豊かで素晴らしい投手」と高く評価し、国際スカウト部に日本人スタッフを補充するなど、受け入れ態勢も整えてきた。ただ、今月に入って、球団首脳に慎重な発言が出始めた。コレッティGMは、抑えのクリス・ペレスの獲得を正式発表した前日24日、電話でメディア対応。「オフの補強はほぼ終わった」と語り、残る補強ポイントに複数守備位置をこなせる内野手を挙げた。LAタイムス紙の見出しは「田中は容認されたが、ドジャースは(入札を)確約しない」。他球団を煽るまいとする“嵐の前の静けさ”か、その動向が注目される。 ■ダークホースはマリナーズか この程、地元テレビ局と大型契約を結び、莫大な放映権料が入ったマリナーズは、ヤンキースとの争奪戦の末に10年総額2億4000万ドルでカノを獲得。その資金力をみせつけたばかり。予算には、更に余裕があると言われ、ヘルナンデスと岩隈に続く先発投手を補強したいマ軍が、西海岸志望とも噂される田中獲りに全力を挙げるとみられる。