疑似家族と介護話し合う 経産省が体験型イベント「ただいまタイムループ」
経済産業省は13日から5日間、東京都渋谷区にある古民家で、若者を対象にした謎解き体験「ただいまタイムループ」を開催した。疑似家族とのやりとりを通して、家族の介護について考えてもらうのが狙い。 イベントは母親の誕生日を祝うため、久しぶりに実家に帰ったという状況からスタートする。こども部屋でくつろいでいると、謎の未来人が現れ、近い将来、母親が認知症になって家族関係も崩壊すると告げる。参加者はそんな未来を変えるため、銀行の通帳の場所などを聞き出すミッションに取り組むというものだ。 狙いについて企画したGOの小林大地さんは「ほしい情報を一方的にぶつけられると誰でも嫌な気持ちになる。コミュニケーションこそが大事ということを感じてもらえれば」と話す。 このほか、将来は在宅介護か施設かといったテーマについて擬似両親と話す練習ができる「家族会話練習所」や、家族をどれだけ知っているかが分かる「家族検定」などのコーナーもあった。 イベントは、経産省が2022年度に立ち上げた「オープンケアプロジェクト」の一環。 25年に団塊の世代800万人が後期高齢者になる。30年には働きながら介護する人が318万人になる見込みで、経済損失は9兆円以上とみられている。 このため、経産省は介護に関する社会機運の醸成も必要だとして、企業やクリエイターを巻き込んだ若者向けイベントなどを開いてきた。 経産省ヘルスケア産業課の橋本泰輔課長は「介護は実際に自分が直面するまで情報に触れる機会がないのが課題だ。元気なうちから将来のことを家族で話し合う大切さを感じてほしい」と話す。体験型ということもあり反響は大きく、イベント発表当日に約100人分の予約がすべて埋まったという。