「首都直下地震の被害軽減に耐震補強工事を急ぐべき」元雑誌編集長が提言
元日に起きた能登半島地震は3か月余りが過ぎた今も6000人以上が避難生活を送り、6000戸以上でまだ断水が続いている。また、4月3日には台湾で最大震度6強の大地震が起き、同月8日には宮崎県南部で最大震度5弱の地震があった。そんな中、日本土木学会が首都直下地震の被害推計を見直したという。4月12日、RKBラジオ『立川生志 金サイト』に出演した、潟永秀一郎・元サンデー毎日編集長が解説した。 ■首都直下地震の被害総額は耐震強化で大幅に減らせる 能登半島地震の発生から3か月。被害総額はまだ確定しませんが、政府の試算では少なくとも1兆1000億円、最大2兆6000億円にのぼるとされます。1日も早い復旧・復興を祈るばかりですが、一方で台湾や宮崎など、その後も各地で地震が続くと、今後30年以内に7~8割の確率で起きるといわれる首都直下や東南海地震など、大震災への漠とした恐怖も感じてしまいます。 そんな中、首都直下の被害推計のニュースを見て驚きました。発生から20年間の累計でなんと1000兆円です。6年前の推計から220兆円以上増えました。今年度の国家予算が112兆円ですから、1000兆円と言うとざっと9年分。その9割以上、954兆円が道路や生産設備の被災による、国内総生産(GDP)の低下による経済被害で、残り50兆円余りがビルや住宅など資産の被害だそうです。 額の大きさにも驚きますが、実はこの報告書のキモは「備え」の大事さです。土木学会の学術研究グループ「国土強靱化定量的脆弱性評価委員会」という難しい名前の委員会が試算したんですが、道路や港湾など公共インフラの耐震強化などに21兆円を投じて対策すれば、954兆円と見込まれる経済被害のうち4割近い369兆円分は減らせる、と提言しています。委員長の藤井聡・京都大学大学院教授は「被害の深刻さをしっかり受け止めてもらうと同時に、対策を行えば軽減できることを認識してもらいたい」と、その必要性を訴えました。