<ルックバック>haruka nakamuraインタビュー 音楽に込めた思い 最初のインスピレーションを大切に
今作は具体的な歌詞はありません。監督からの意向と僕も同意見であえてつけてないのですが、uraraが歌っている言葉は僕が仮歌デモでレコーディングした、なんとなくメロディーと共に降りてきた言葉で歌っていたもの。それを彼女が耳で聞こえた発音をノートに書き写して歌ってくれました。今回、urara自身も「ルックバック」の愛読者だったことで、レコーディング前から物語が深く彼女の心情に入っていたことも嬉しいご縁でした。
◇Nujabesさんの大きな影響 「ルックバック」の2人の物語とも共感
ーー完成した映像の印象は?
先ほどお話したように、音楽制作段階ではまだ同時進行中でしたので、完成してきた押山監督のアニメーションは、想像を遥かに超えてくるもので圧倒されました。監督のお話を伺っても本当に細部の深いところまで掘り下げて作られていて、そして最後の最後まで描かれていて。その机に向かう背中の熱量はすさまじいもので、映画チームの皆にポジティブなエネルギー、影響を与えていたように思います。個人的にもアニメーションは昔から好きで、今作も映像と自分の音楽との親和性のようなものを強く感じました。昔から、いつかアニメーションの音楽を制作してみたいなと楽しみにしていたのですが、その最初の作品が押山監督、藤本タツキ先生との作品となり光栄ですし、この映画に携われて、とてもありがたい気持ちです。
ーードルビーシネマ、ドルビーアトモスの上映でサウンドを聴いた感想は?
アトモス用のレコーディング・スタジオで初めて聴いた時は、聖歌隊のコーラスが天から降り注いでくるような新しい感覚で驚きました。左右前後だけではなく、天井からコーラスがシャワーのように心地よく降ってきました。仕上げてくれたエンジニアの葛西敏彦さんや、勝田友也さんのアイディアに感謝します。また、葛西さんも青森出身の同郷で、これまでも僕らはチーム青森として、いくつかの作品を共にしてきたことが、今作の北国の情景をより深めてくれていたのかも知れません。