<ルックバック>haruka nakamuraインタビュー 音楽に込めた思い 最初のインスピレーションを大切に
ーー以前、「譜面も読めない」とも発言されていました。今回はどのように音楽を制作したのでしょうか?
はい。譜面はお恥ずかしながら、とても不得意でして。小学校卒業までは母がピアノ講師としてレッスンしてくれていたので、もちろん時間をかければ読めるには読めるのですが……(笑)。初見でスラスラ弾いてしまうなんて憧れますね。なにせ子供の頃から、譜面をざっくりと捉えて、耳で聴いた感じで勝手に解釈して弾いてしまうような困った生徒だったようで。そして12歳から20代中盤まではギターに夢中になって全くピアノを触っていなかったのも影響してるのかも知れません。ギターは自主的に熱中して練習したので、ギターのコード譜やTAB(タブ)譜は別ですが。即興的に弾くスタイルは子供の頃から変わっていなくて。湧き上がる純粋な、喜びの粒子のようなものがある音が好きなんです。なので今作においても、まず映像を見ながら即興的にピアノを弾きました。最初のインスピレーションを大切に。ですから、譜面に書きながら音楽を作ることはありませんし、生まれた音楽をその場で譜面に残すこともなくて。子供でも弾けるかもと思えるような日常的な、素直なものを弾きたいなと思っています。自分にもすぐ弾けるんじゃないか?という親しみを思ってほしいのです。弾きたくなってほしいなというか。
ーー主題歌「Light song」を歌うuraraさんの歌の魅力をどのように感じていますか?
uraraはもともと聖歌隊にいた女の子でした。会った時、彼女はまだ小学生で。その頃から僕の音楽ではメインボーカルとして歌ってくれていて。その頃に歌ってくれていたのは、音楽を「祈り」と捉え、歌詞のない讃美歌のような、暗闇から光へと向かう希望への曲。代表作としては「光」「カーテンコール」などがあります。今作の主題歌のコンセプトと通ずる曲を10年ほど前から共に作ってきていました。そして今回は主題歌も劇伴の一部のように、ひとつなぎの世界観であることを大切にしようと。uraraは普段、音楽活動をしていません。聖歌隊にいた幼い頃から変わらず、天から降ってくるように美しく透き通った、とても純粋な歌声を持っています。