熟慮した結果「デザイン変更しません」 ツバメノートの投稿が話題 〝仕様を変えない努力〟が難しい理由
熟慮した結果、今年度もデザインを変更しません――。大学ノートで有名な文具メーカー、ツバメノートのこんなSNS投稿が話題になっています。新年度をきっかけに「変わらないこと」を宣言した投稿でしたが、〝仕様を変えない努力〟も簡単ではないそうです。担当者に話を聞きました。(デジタル企画報道部・武田啓亮) 【画像】77年愛され続けるデザイン 昔の表紙と並べてみると
「新年度あるある」の逆を狙った投稿
話題になったのは、ツバメノートの公式アカウントによるXへの投稿です。 「新年度のお知らせ」という文言で始まる投稿は、こう続きます。 「創業より変わらぬツバメノートの意匠ですが、当社で熟考を重ねた結果、来年度もデザイン変更しないこととなりましたので、ここにお知らせ致します」 この投稿に「一瞬デザイン変更のお知らせかと思った」「不滅のデザインですよね」といった反応が寄せられました。 この投稿をした担当者に取材すると「新年度によくある『リニューアルのお知らせ』に似せて、逆に、変わらないことをアピールしてみました」とのこと。 「ノートを新調する機会も多い新年度というタイミングに、選択肢の一つとして注目してもらえたらいいなという思いがありました」と話します。
「ツバメ」の由来は
ツバメノートは、1947年に発売。表紙のデザインはその当初から変わっていないそうです。 終戦後間もない当時の日本では、物資不足のため、粗悪な紙を使ったノートが多く出回っていました。 ツバメノートの担当者は「この状況を憂いた創業者の渡邊初三郎が『世界に伍するノートを創る』という信念を持って、ノート製造に乗り出したといわれています」と話します。 書き心地がいい、文字がにじみにくいといった特長を持つ「フールス紙」を使い、糸で綴じて製本することで耐久力にも優れるノートは、たちまち評判になりました。 なぜノートの名前は「ツバメノート」なのでしょうか。この頃、同社には「燕さん」という凄腕の営業担当者がいたそうです。 「取引先から『燕さん、ノート頂戴』とよく呼ばれていたのと、当時、特急燕号が人気だったことから、『ツバメという名前はいいな』となりました。ノート発売の翌年、社名も『渡邊初三郎商店』から現在の『ツバメノート』に変更され、現在に至っています」