まさにドラマチック! 奈良記念の“劇的兄弟ワンツー”に「惜しみない拍手贈りたい」/奈良競輪G3・決勝回顧
古性優作はついに力尽き、三谷竜生が先頭に躍り出る!
しかし、絶好の展開をモノにしたい菅田選手もスピードは衰えず、三谷竜生選手よりも少しだけ前に出た態勢を保って最終2センターを通過。古性選手はついに力尽きて、番手にいた南選手は、菅田選手の後ろに切り替えています。三谷竜生選手の直後は、兄の三谷将太選手がぴったりとマーク。そして最後の直線に入った瞬間、三谷竜生選手は菅田選手を捉えて、先頭に躍り出ます。 外に出して差しにいった三谷将太選手も、内で粘る菅田選手を捉えますが、先頭に立った三谷竜生選手との差はほとんど詰められないまま。ホームバンクの短い直線を、三谷竜生選手が先頭で駆け抜け、昨年に続く連覇を達成しました。2着は三谷将太選手で、言うまでもなく地元勢のワンツー決着。さらにいえば、これは2018年の奈良記念以来となる、三谷兄弟のワンツー決着でもあります。
見どころ「しか」なかったような決勝戦
いったんは先頭に立った菅田選手が3着に粘って、3連単は65,070円という高配当に。でも、この結果でこの配当というのは、正直なところ安いですよね。つまりそれだけ、地元の看板を背負って戦う、三谷兄弟を応援していた方が多かったということ。記念での地元選手というものは、時としてこういうドラマチックな結果を出すものではありますが…それにしても劇的というか。そりゃあ、三谷将太選手も表彰式で涙ぐみますよ。 レース展開も熾烈かつ劇的で、どこを切り取っても見どころ「しか」なかったような決勝戦に。まずはなんといっても、脇本選手と古性選手のもがき合いでしょう。完全優勝に王手をかけるほどのデキだった脇本選手の捲りを、古性選手は前受けからの突っ張り先行で堂々と迎え撃ち、合わせきった。古性選手は、前受けを選んだ時点でこの展開を覚悟していたと思いますが…いやあ、本当にすごかったですね。 また、先に捲った菅田選手の強さにも驚かされましたね。結果的には三谷竜生選手に「その上」をいかれましたが、このメンバーの記念決勝で観衆をあっといわせるところまでいけたのですから、自信を持っていい。それだけに悔しかったのが守澤選手で、自分のポジションを捌いた三谷竜生選手が優勝したというのは、マーク屋として忸怩たるものがあるでしょう。北日本のファンから「慎太郎なら勝っていた」なんて言われかねません。 そんな激闘を制して連覇を達成した三谷竜生選手には、惜しみない拍手を贈りたいですね。この超強力なメンバーを相手に、最高の立ち回りをして最高の結果をもぎ取ったわけですから、シビれるほどに強かった。展開が向いたという見方があるかもしれませんが、だからといってやすやすと勝てるような相手ではない。車券や予想がハズレでも、本当にいいものをみせてもらった…という気持ちで満たされちゃいますよね。