まさにドラマチック! 奈良記念の“劇的兄弟ワンツー”に「惜しみない拍手贈りたい」/奈良競輪G3・決勝回顧
初手の並びは脇本雄太が後方、古性優作が“堂々と受けて立つ”
前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ決勝戦の回顧に入りましょう。レース開始の号砲が鳴って、まずは1番車の三谷竜生選手と3番車の古性選手が飛び出していきますが、それならば…と三谷竜生選手が引いて古性選手が先頭に。「堂々と受けて立つ」という、古性選手の意志を感じましたね。三谷竜生選手は4番手となり、6番手に菅田選手、そして後方8番手に脇本選手というのが、初手の並びです。 脇本選手が初手で後方だと、四分戦とはいえ「斬った斬られた」が繰り返されるような展開にはなりづらい。デキもいいので、なおさら自分の得意とするカタチで勝負してきそうです。誰も動かないまま青板(残り3周)周回が終わって、赤板(残り2周)を通過。後方の脇本選手は前との車間をきって、いつでもダッシュできる態勢を整えています。そして赤板後の1センター手前で、脇本選手が動きました。
脇本雄太の失速 襲いかかる菅田壱道
一気の加速で先頭に迫る脇本選手。打鐘の直前というタイミングで、ここで前を斬らせるわけにはいかない古性選手も、先頭誘導員が離れた瞬間に踏み込んで突っ張りにいきます。脇本選手と東口選手の後ろには、6番手から切り替えた菅田選手が追走。脇本選手は打鐘で、南選手の直後まで進出します。しかし、全力ダッシュで合わせる古性選手は、脇本選手にこれ以上の進撃を許しません。
古性・脇本の両者が、がっぷり四つでもがき合ったまま、打鐘後の2センターを通過。ここで、古性選手の番手にいた南選手が、ヨコの動きで脇本選手をブロックします。これで少し外に振られた脇本選手ですが、態勢を立て直して、最終ホーム手前では再び南選手の外を併走。脇本選手の番手にいた東口選手は、外から勢いをつけて松岡選手を内に押し込みつつ、最終ホームを通過します。
ここで、後方の外にいた菅田選手が仕掛けて進出開始。そして前では、南選手が外の脇本選手を再び牽制しました。もがき合いながら必死に食らいついていた脇本選手ですが、この牽制で力尽き、最終1センターで大きく外に膨れて失速。それとまったく同じタイミングで、三谷竜生選手が外の守澤選手を鋭いヨコの動きで一瞬にして捌き、菅田選手の番手を奪取しました。三谷将太選手もそれに続いて、菅田選手の3番手を確保。脇本選手を撃墜した大阪勢に、今度は菅田選手が襲いかかります。 いい加速をみせる菅田選手は、最終バックでは南選手の外まで進出。先頭では古性選手が踏ん張っていますが、脇本選手の仕掛けを合わせきった後ですから、さすがに脚に余裕はないでしょう。最終3コーナー手前で、これは菅田が一気に前を呑み込むか…と思った刹那、菅田選手の番手から仕掛けた三谷竜生選手が、大外をついて猛追。最終2センターで、先頭に立った菅田選手の外に並びかけました。