「AI美女が荒稼ぎ」独身の中国人男性たちが陥る沼 ミス東大でも注目、ディープフェイクの今
一方、華智氷の事例からもわかるように、中国ではもっと早い2021年から2022年にかけてAIインフルエンサーがSNSで活動を始め、企業によるAIタレントの起用も活発化した。 EC最大手のアリババグループなどが開発した女性AIの「AYAYI」は2021年に同社に「入社」し、中国初のAIインフルエンサーとしてルイ・ヴィトンやバーバリーなど30以上の高級ブランドと提携した。 2022年の北京冬季五輪では、手話で実況を届けるバーチャル手話アナウンサーが登場した。
ChatGPT登場前から中国でバーチャルヒューマンが存在感を高めていた背景には、ライブ配信しながら商品を売るライブコマースが隆盛するなど、ECの進化がある。 人間のスタッフやインフルエンサーの代わりに商品説明をしたり、消費者の質問に答え、購入を促すAIへの需要を取り込み市場が拡大した。 IT企業にとって、バーチャルヒューマンの開発は技術力をアピールする場でもあった。 2023年5月にアリババのAIインフルエンサーAYAYIと口紅王子として知られるトップインフルエンサーの李佳琦氏が「AIライバーは人間に取って代わるか」というテーマで対談する動画が公開されたが、それはAIの対話能力を示すことが目的の1つだった。
だが、生成AIの登場で簡単にAIを使ったコンテンツ制作のハードルが一気に下がると、AI美女のアカウントがSNSや動画配信プラットフォームに大量に湧いて出た。 「ミス東大」のようにセクシーな美女でフォロワーを集め、広告収入や有料コンテンツへの誘導を狙うアカウントもあるが、中国ならではと言えるのは、ライブコマースで商品を売るAI美女ライバーだ。 ライブコマースのプラットフォームではセクシーな衣装をまとった美女が多数活動している。
中国メディア新浪新聞によると、プロフィール欄に「1980年代生まれのシングルマザー」と記載されたアカウントには110万のフォロワーがいる。 一方的に商品を紹介し、視聴者と交流することはなく、運営会社から「このコンテンツはAIで作られた疑いがあります」との注釈もつけられているが、ライブコマースが始まると、多くの視聴者が話しかけたりプレゼントを贈ったりする。 ■中年男性狙ったAI美女のビジネス 通常、人気ライバーのフォロワーは若い女性が中心だが、これらAI美女ライバーのフォロワーは40代以上の中年男性が半分以上を占めているという。