「人生後半は、不器用でも余すところなく『体験』を味わいたい」ジェーン・スー
東京から遠く時間もかかる事実は、食材でたとえるなら無駄と切り捨てられる部位です。しかし、それをゆっくり味わえる余裕が、東京では無駄を極端に嫌う私にもまだあったことは嬉しい発見でした。 帰路、名古屋駅は世界中からの観光客で大賑わい。どこも長蛇の列で、先ほどまでのゆったりムードは一気に消滅。出張でくるとこういう感じにのみ込まれるのよね。集えばよいというものではない。 体験から「無駄」という生ごみを出さず、余すところなく味わうこと。人生後半のテーマのひとつになりそうです。 じぇーん・すー◆1973年、東京生まれ。日本人。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。著書多数。『揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ』(朝日文庫)が発売中。 ※AERA 2024年6月3日号
ジェーン・スー