【師走ひと模様】封印した夢個展に 福島市の馬場正人さん
アフリカの大地で躍動するヒョウ、南米のウユニ塩湖の輝き―。福島市の馬場正人さん(75)は撮りためた写真を見つめ、記憶のページをめくる。「最初であり集大成になった」。一度は封印した夢が半世紀を経て初めての個展に結実した。 ◇ ◇ 世界を歩き冒険する生き方に憧れた。最初に海を渡ったのは東洋大4年の時。米国で2カ月過ごした。グランドキャニオンを訪れ、壮大さに心を揺さぶられた。ただ、自分は長男。古里へ戻るよう求められ、東邦銀行に就職した。仕事に全力投球し、世界への憧れは遠くなった。 おき火のような気持ちが再燃したのは銀行を離れた後だった。第2、第3の職場に身を置きつつカメラを手に足しげく海外へ向かい、心が動いた瞬間にシャッターを切った。40カ国を巡った軌跡は約5千枚の写真に生まれ変わった。 ◇ ◇ 現像のために通う写真館の関係者が個展の開催を熱心に勧めてくれた。忙しい年末でも職場の仲間らが運営を支えてくれている。展示壁には人生の映し絵ともいえる83枚が輝く。「臆することなく外の世界に飛び込んでほしい」。夢を諦めない大切さを伝えている。
■馬場さんの個展「出会いと感動の旅~この美しい地球に生まれて~」は28日まで福島市写真美術館で開かれている。観覧無料。時間は午前10時から午後4時(最終日は午後3時)まで。問い合わせは同館へ。