JR宗谷線「最北の秘境駅」抜海駅、25年3月廃止 北海道稚内市が24年度で費用負担終了 住民落胆、駅舎保存は道険し
【稚内】「最北の秘境駅」として知られるJR宗谷線の抜海駅(稚内市)が、来年3月に廃止されることが決まった。JR北海道から維持管理を引き継いだ同市が本年度限りで費用負担を終えるためで、存続を求めていた地域住民からは落胆の声が上がる。住民らは駅舎の保存を訴えていく考えだが、実現性は不透明だ。 【動画】「特大貨物」シキ800形式大物車が7年ぶりに北海道内走る 「地域として(存続に向けて)できる限りのことはやってきたが、廃駅が決まってしまい残念」。駅の周辺住民でつくる抜海町内会の森寛泰会長(62)は肩を落とす。 抜海駅は1924年(大正13年)開業で、稚内市中心部から約10キロ南の酪農・漁業地帯にある。JRの日本最北駅は同駅から2駅北の稚内駅だが、周辺に建物が少ない無人駅であることから「最北の秘境駅」と呼ばれる。俳優吉永小百合さん主演の映画「北の桜守」(2018年公開)のロケ地にもなった。 止まるのは1日上下計7本の普通列車で、過去5年間の1日平均乗車人数は2.2人。JR北海道は同3人以下の駅を廃止の目安としており、来年3月15日のダイヤ改正での廃止を決めた。 存廃を巡っては曲折があった。JRは2019年に乗客減のため稚内市に廃止方針を提示。市は同駅が最寄りの高校生らの「足」を確保するため、21年度から除雪費を中心に年間約100万円を支出し、駅を維持してきた。 22年には同年度で市費負担を終える方針を示したが、住民の反発を受けて撤回。その後、高校生の通学はスクールバスの混乗、地域住民は乗り合いタクシーの運行といった代替交通のめどがついたとして、24年度限りで維持費の負担を打ち切ると決めた。